シリアのコテコテデコレなミクロバス(2) | アーディで行こう

アーディで行こう

「普通」を意味する便利な言葉、「アーディ」 地元の足として、とことこ走るバスなんかを「アーディ バス」、エジプトではエアコンなし列車を「アーディ」 そんな方法での旅を紹介しましょう。
え、そんなの自分には無理だって? 大丈夫。「アーディ、アーディ」

アーディで行こう$アーディで行こう-デリゾールメルセデスدير الزورデリゾール
シリアでデコレなミクロバスが見られるもう一つの場所が、デリゾールです。ここはマリやドゥラ・エウロポス、ハラビーエといったユーフラテス川沿いに点在する遺跡への拠点となっている町ですが、郊外路線はほぼ全てワゴン型ミクロバスになってしまっています。では、どこにデコレなミクロが走っているのか? それは市内線なんです。
デリゾールの町は大きいのですが、旅行者が歩くところは限られています。その一つが、ユーフラテス川に架かる歩道の吊り橋、通称「デリゾール橋」から始まり、市街地を南北に貫くشارع ٨ عزارサマーニア・アザール通り(ベドウィン風の発音ではタマーニァ・アザール)。
ユーフラテス川に近い、スークのある場所を過ぎて南下すると、西側に大きな公園が見えてきます。この公園前が市内線ミクロバスの発着点。ここのバスはデコレーションに気合いが入っているバスが多く、見ていて楽しい。

$アーディで行こうプルマンなのかミクロなのか、長距離バス
ミクロバスといえば短距離路線? いえいえそうではありません。実はプルマンバスががんがん走っているような、長距離バス路線にもミクロバスはあるのです。例えばアレッポ~ダマスカス。あんなにプルマンが走っているのに、エアコンの効きも悪く、乗り心地も悪いミクロが何で走るかと言えば、やはり沿道の村々で乗り込む人が多いんですね。私も一度、アレッポからハマまで乗ってみましたが、そのバスもダマスカス行き。サラキブとかアルマアッラといった途中の町で乗客を拾い、あるものは折り畳み椅子を通路において座り(事故ったら前に吹っ飛びますな)、あるものは運転席横のラジエーターに座り、それでも乗りたい人はドアのステップのところに立つといった感じで車内は満席。ハマのハイウェイ上で私を降ろした後も、ダマスカス目指して走り去って行きました。ハマまでだってプルマンで2時間のところを3時間かかっていましたし、ハマからダマスカスまで5時間くらいはかかるでしょう。ほとんど修行ですな。
右上の写真は、かつてのプルマンバスを転用したもの。シリア北部ではこの手のプルマンだかミクロだかよくわからない地方路線が多いです。右下は、ホムス~タルトゥースをよく走っているミクロバス。上に書いたアレッポ~ダマスカス路線のバスもこんな感じで、ちょいと小さい車体を使っています。日本製ですが、車内設備は現地製なので、座り心地は悪い。一番きついことは、エアコンの効きが悪いことです。汗だくになって乗らなければなりません。でも、それも旅の醍醐味かも。どうですか? シリア旅行中のあなたもこんなバスでダマスカスを目指してみませんか? 私は遠慮しておきます。
ちなみに、ダマスカスのミクロバスターミナルは、カラージュ・ハラスターに行く途中に通るساحة العباسينアッバースィーン広場の次の交差点にあるカラージュです。ここには2カ所のカラージュがあり、その片方がシリア北部へのミクロバス発着場になっています。通称カラージュ・アッバースィーンと呼ばれているここに行けば、シリア中から集まったトンデモミクロバスを見ることができます。