アンマン〜アカバのバス その3 トラストバスとアーディ | アーディで行こう

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「普通」を意味する便利な言葉、「アーディ」 地元の足として、とことこ走るバスなんかを「アーディ バス」、エジプトではエアコンなし列車を「アーディ」 そんな方法での旅を紹介しましょう。
え、そんなの自分には無理だって? 大丈夫。「アーディ、アーディ」

トラストバスTrust International Transport الثقة
アカバの街を歩いて、右のような光景を見た人は多いでしょう。トラストバスのアカバ事務所はアクアマリーナ2ホテル前という一等地にあり、周辺にはレストランも多いので、ついついこのバスに乗ってしまう観光客もいるかもしれません。
トラストバスは、車体もジェット並みにいいですし、サービスもいいんですが、アンマンの発着場がドワールサービア(7サークル)だけなので、降りたったらほとんどの観光客は途方に暮れてしまいます。7サークルから市内バスでダウンタウンへ行きましょう。地図はこちら。アンマンの市内バスについてはこちらをご覧ください。右の写真は2005年のお正月のもので、今ではジェットバスと同じエルバ車体を使っています。車内でシャイやサンドウィッチの有料サービスがあるのも同じ。運賃は2009年6月時点で6.5JD。ジェットよりちょっとだけ安いです。

アーディで行こう-トラストバスアカバ2009年6月の運行時刻は以下のとおりです。
アンマン発
7:30、9:30、14:00、19:00
アカバ発
7:30、11:30、14:30、19:00

テルアビブ便もある
トラストバスはアンマン~テルアビブ間に国際バスを運行しています。アンマン発毎日8:30、35JDです。国境はシェイフ・フセイン橋を使っています。
また、イルビッドやザルカにもオフィスがあり、アカバ直行便を運行しています。
アカバ発イルビッド行き8:30、15:30
アカバ発ザルカ行き14:00、19:30

アーディで行こう-アファナアーディ大2
アーディで行こう-アファナアーディ大アーディで行こう-アファナアーディ小アーディで行こう-アンマンアカバアーディのサボムジャンマ・ジャヌーブ発のアーディ
さて、アカバ線にも満席になったら発車するアーディなバスがあります。こちらはアンマンのムジャンマ・ジャヌーブ発着です。アカバでは警察署前のアーディバスのムジャンマに発着します。バスは右のようにさまざま。1枚目のようなきれいなバスもありますが、たいていは2枚目のようなおんぼろ大型バスです。ひどい時には3枚目のマイクロバスだったりもします。大型バスはぼろでもエアコン付きですが、これがまた効きが悪い。真夏などはひどい暑さです。また小型バスは乗り心地が悪く、最後部の席になったときはあまりの尻の痛さで「痔」になったことさえあります。

いいことなしのように思えるアーディですが、定時発車バスとは異なり途中降車OKなので、ワディ・ラムに行く時は便利です。また、アカバ発はたいてい数席余して発車しますので、ワディ・ラムからの帰りに、デザートハイウェイで乗ることもできます。この乗り場についてはこちらの記事をどうぞ。

ムジャンマ・ジャヌーブでは入口を入ってすぐ左、一番手前のホームを使っています。他のアーディ・バスと同じように、バス側面に黄色地に黒や赤文字でアンマンعمانアカバالعقابةと大きく書かれている(右下の写真)ほか、前面窓や後部窓の下にも小さくعمان  العقابةと書かれています。

運行は客の集まりしだいなのですが、おおむね8:00~20:00に1時間~1時間半に1本くらい出ています。かつては「24時間運行」を掲げていて、たしかに午前2時発とかに乗った話を聞いたことがありますが、この時間帯になると、あとどれくらいで満席になるか全く読めないなか、ひたすら車内で発車を待つことになるので、体力面はもとより、精神的にもかなりきついです。それでやめてしまったのでしょう(今でもアカバのムジャンマ内にある乗務員休憩所には٢٤ساعةと書いてありますが)トイレがついていないので、アンマンから1時間ほど行った、カラクへの分岐点でもあるカトラナالقطرانةという集落のドライブインで20分ほど休憩します。運賃は5.5JD。

アーディバスはヨルダン経済の縮図
アカバは関税がかからず、消費税も割り引かれる経済特区です。酒やタバコが安いのはいうまでもないですが、ヨルダン人にとってはなぜか「毛布」で有名。アカバに遊びに行ったらだれもがパンダマークのついた中国製毛布やらちょっと品質の良い韓国製毛布やらを大量に買い込みます。
でも、それをそのままアンマンに持ち込めるかというと、そうではありません。アカバから小1時間走ったところに税関があって、バスの乗客も全員降りて、荷物検査を受けるのです。
ここで通るのは基本的に1つの種類について1人1個だけが免税。そしてこの検査は実に厳しいんです。いつも仕事がいい加減なヨルダン政府ですが、徴税だけはしっかりしています。でもやっぱりいるんですよ、いわゆる「かつぎ屋」さんが。

ある時アカバからアーディに乗ったら、大量の黒いビニール袋(昔の日本のゴミ袋みたいなやつ)を車内に持ち込むおばちゃんが4~5人。どうやら仲間ではないらしく、なぜか同じ便にかつぎ屋さんが集まってしまったようです。通関では、カバンや大型荷物は自分で検査場に持って行かねばならないのですが、車内の荷物はまあ目こぼしされることが多いという点に目をつけたのでしょう。頭上の狭い荷物棚やら座席下やらにむりやり押し込んで、準備完了。

さていよいよ検査場に到着。屋根のついたガレージにバスを止め、床下のトランクからも全ての荷物が取り出されます。かつぎ屋のおばちゃんたちは座席周りの袋は置いたまま、カバンと免税範囲の商品だけを検査場に持ち込んでいました。
ところがこの日の検査官はめちゃくちゃ厳しかった。以前から目をつけられていたのか、取り締まり強化を指示されたのか、そこのところはよくわかりませんが、おばちゃんたちの荷物だけは徹底的に調べています。どうやら検査場に持ち込んだ荷物からも、カバンの底だとかに免税範囲を超える「商品」を仕込んでいたらしく、それが見つかって一騒動始まりました。稼ぎがかかっているおばちゃんたちが猛烈な抗議をはじめましたが、それがさらに係官に火をつけたのか、彼はやおらバスの方に移動。車内に乗り込むと次々に黒い袋を窓外へと出して行きます。おばちゃんたちはますますいきり立って抗議。すると係官も大声でののしりながら、袋を叩き付けるように車外に放り投げる。あっというまに袋の山ができ、おばちゃんと係官はお互いにののしり合いながら検査場に入って行きました。
この時点で他の乗客の検査は終了しており、あとはおばちゃんたちだけ。みな手持ち無沙汰にバスの周りで待っていますが、それから20分はたったころ、ようやく最後のおばちゃんがぷりぷり怒りながら帰ってきました。なんでも1枚につき6JDだかの関税を取られたとのこと。ものにもよりますが、アンマンでの中国製毛布1枚の相場は15JDくらいですから、儲けがほとんど飛んだんじゃないでしょうかね。ちなみにその日彼女が運んでいた毛布は12枚だったそうです。
アンマンのダウンタウンの一角、カイロレストランの向かいあたりには毛布屋が10軒くらい集まっているスークがありますが、彼女たちのようなかつぎ屋さんによってアカバから運ばれた毛布も、結構あるんでしょうね。

それにしても、いつもは20~30分で済む税関検査ですが、この日は1時間以上かかり、アンマンまで5時間半もかかってしまいました。