イランの鉄道ループ線を行く | アーディで行こう

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「普通」を意味する便利な言葉、「アーディ」 地元の足として、とことこ走るバスなんかを「アーディ バス」、エジプトではエアコンなし列車を「アーディ」 そんな方法での旅を紹介しましょう。
え、そんなの自分には無理だって? 大丈夫。「アーディ、アーディ」

ループ線をご存知ですか? 鉄道や道路で急な坂道を避けるために、ぐるぐる回って高度を稼ぐ方法です。日本では上越線や北陸本線などに例があり、九州の肥薩線の大畑ループはその絶景で有名です。おっと、ゆりかもめのレインボーブリッジへと登るところもループ線ですね。

これまで2回取り上げたイランの鉄道にも、ループ線があります。前回はフィルーズクー駅に到着したところまで書きましたが、ここからループが始まります。

フィルーズクー駅で礼拝停車
フィルーズクー駅では20分程度の停車時間が取られているようで、乗客が三々五々ホームに降りていきます。みていると、駅構内にある礼拝所に入っていきます。イランでは駅には必ず礼拝所があり、礼拝の時間が近づくとどの列車も最寄りの駅に停車して、乗客が礼拝する時間を取っているわけです。このフィルーズクー駅構内の警備は厳しく、この時は写真をとるような雰囲気ではなかったので、下の写真はタブリーズ駅ホームにある礼拝所の案内標識を使いましたが、どの駅にもこんな感じで礼拝所があります。
ちなみにこの標識にあるペルシア語の通り、イランでは礼拝を「ナマーズ」といいます。彼らと乗り合わせていると、「ナマーズ行く?」とよく誘われますよ。
アーディで行こう-イラン 駅の礼拝所の案内

車内販売のお弁当
礼拝の間にこちらは腹ごしらえです。フィルーズクー到着は11:30頃でしたが、10時頃から列車スタッフがお弁当の注文を取っており、11時頃に席まで持ってきてくれました。値段は、忘れてしまいましたが、たしか50000リヤル(500円)はしなかったと思います。バターライスの下に牛肉が埋もれています。
アーディで行こう-弁当
こんなローカル列車にも調理場があって、炊飯から箱詰めまでしています。
アーディで行こう-車内販売員

いよいよループ線へ
フィルーズクー駅の次の駅(駅名板がなかったのですが、あとで調べたらカドゥークという駅でした)に停車後、駅構内からすぐにトンネルに入ります。
アーディで行こう-カドゥーク

トンネルを抜けると列車は深い谷の崖っぷちを走ります。しばらくすると前方にアーチ橋が見えてきました。
$アーディで行こう-ショウラーブループ border=

このアーチ橋を渡っている時に谷を見ると、橋の下に別の線路が吸い込まれて行くのが見えました。そして列車はトンネルを抜け、こんどは谷が反対側の右手に移っています。そして先ほど見たアーチ橋の根元にあるトンネルへと入って行き、再度トンネルを抜けると谷がまた反対側の右手に移りました。列車は2度ループを描いて元の進行方向に向き直ったことになります。
この橋の部分を後日対岸から撮ったのが下の写真です。
上段にアーチ橋があり、その下の中段は線路がよく見えないですが、下段はさらに右側のトンネルから出て画面を横切っているのがわかります。
$アーディで行こう-ショウラーブループ横

すごいですね。ループに喜んでいるとまもなく、今度は下の方に線路が2つも見えてきました。
アーディで行こう-3段の上から

前方を見ると変なところにトンネルが。ここもループです。崖っぷちで眺めがいいのと、右に左に車窓が変わるのとで、乗客のイラン人もカメラ片手に車窓に釘付けです。乗客の興奮冷めやらぬなか、列車はこの写真の上段のトンネルに入った後、ぐるっと回って下のトンネルに出てきました。
アーディで行こう-3段の車窓から

続きはまた今度。

このループ線の概要を含めて、イランの鉄道が14ページも掲載されている先月発売の鉄道ピクトリアル(11月号)です。
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こちらにもループ線が載っています。
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