つまり、事故の原因は、原子炉の設計にあるのではなく、運用の失敗、明らかな人災であると、報告書は断定しています。
特に、事故復旧時に菅前総理が自ら事故現場を訪れ、現場を混乱させたのみならず、貴重な事故復旧時間を浪費させたのが問題として挙げられています。
これに関しては東電・勝俣前会長も、『事故復旧に全力を尽くす。これが一番大事なことだった。(総理の現場視察は)こうしたことは正直あまり芳しいものではない』と、最高権力者に遠慮しつつも管前総理を批判。
事故が拡大した原因として、『(首相)官邸による現場への直接的な介入が現場対応の重要な時間を無題』にしてしまったと断じています。
その一方、東電の『安全神話』に基づく自信過剰や、首相官邸の『顔色伺い』が度を過ぎたことも批判していますから、妥当な報告書と思われます。
なにより最悪だったのは、管前総理による『撤退などあり得ない。命がけでやれ。逃げてみたって逃げ切れないぞ!』って、特攻命令です。
先の大戦でも、『特攻作戦』に法的根拠などないくらいですから、原子炉事故での『特攻命令』は、超法規的措置を超えた権力乱用にあたるのは言うまでもないでしょう。
これについては、東電内部でも現場と事務方の意思疎通の乱れが指摘されています。
いずれにしろ、福島第一原発事故は結局のところ、単純なヒューマンエラーによる事故であって、原子炉そのものの設計・建築・運用の基本的な問題ではなかったのも確か。
東電にダメージコントロールの思想がなかったのは、全面的に東電の責任ではありますが、それ以上に官邸の事故対応の悪さが事故の真の原因です。
単純な原発反対では済まされない問題とも言えます。