例によって、愛読紙『朝鮮日報』から無断借用しましたので、オヤジも韓国人民とともに、『世宗大王艦』完成をお祝いさせていただきます。
それにしても、『朝鮮日報』のサービスカットには、海専のミリタリーマニアのオヤジとしては本当にうれしい。
しかし、惜しいことにコメントが付けられていないので、余計なお世話でオヤジが、ちょっと注釈を入れてあげましょう。

艦橋に、イージス艦の特徴的なフェーズドアレイレーダーが見えますね。イージスシステムはベースライン7と最新鋭ですが、あれこれオプションを外していますし、弾道ミサイル防御可能にグレードアップする計画もないようです。
写真には写っていませんが、艦砲は海自の「あたご」級から採用された、長砲身の5インチ砲で対空戦闘はできませんが(不可能ではない)、誘導砲弾発射可能(日韓とも装備の予定なし)で、対地、対艦戦闘には威力を発揮します。
さらに艦橋の直前にある長方形のものがRAMランチャーです。CIWS近接防御システムの一種ですが、弾丸ではなく、小型ミサイルが発射されます。中露の超音速対艦ミサイルに対しては、従来の20mmCIWSでは、力不足が指摘されて開発されたものですが、実戦での使用例がないので、能力はまだ評価できません。
もう一つ注意点としては、ブリッジがほとんど垂直で、同様にマストにも傾斜角があまり見られません。
これは、ステルス能力が低いことを示しています。

一応、ヘリコプター格納庫は二つありますが、どちらも扉の幅が狭いように見えます。
これは、後部VLSが格納庫の間にあるためで、シーホーク級の大型哨戒ヘリの格納はできないと思われます。ちなみに海自の「あたご」は哨戒ヘリ1機分搭載のために、格納庫扉を片側に寄せています。洋上では、大型ヘリでないと運用が難しいことと、格納庫に被弾した場合の被害を最小にするためでしょう。
おそらく『世宗大王艦』に搭載できるヘリは、中型以下で、対潜哨戒にはかなり制約を受け、格納扉が二カ所あるため、防御的弱点にもなると思います。

艦尾から見た『世宗大王艦』です。格納庫上のイルミネーター(パラボラアンテナ状のもの)の前に細長い横棒状のものが見えますが、これもCIWSの一種で、主にEUの艦が装備している「ゴールキーパー」のレーダーです。「ゴールキーパー」は30mm速射機関砲で、弾頭には時限信管を装備し、日米の20mmバルカンファランクスよりも高性能と言われていますが、これも実戦での成果は今のところ皆無なので、評価不明です。
また、重量とスペースが20mmCIWSよりも必要なのが、難点です。
さらに、「ゴールキーパー」の装備位置が高いところにあるのは、超低空で飛来する対艦ミサイルの迎撃には不利で、射撃範囲も制限されるでしょう。
海自のイージス艦とのもう一つの相違点が、写真からもわかるように短魚雷を装備していないことです。
VLS-ASROC(垂直発射型の対潜魚雷)は装備しているので不要としたのでしょうが、海自潜水艦、お得意の待ち伏せ作戦で、潜水艦に接近戦を挑まれた場合は危ないでしょうね。また、海自は近い将来、対魚魚雷(迎撃魚雷)を装備するとも言われています。ここら辺、第二次大戦で米潜水艦に痛い目に遭った海自との相違かも知れません。
また、海自の新鋭艦は、所謂、不審船対策として、小型高速船攻撃用に機関砲及び改良型CIWS、さらに哨戒ヘリにも機関砲、小型対艦ミサイルを装備して近接戦闘能力を高めていますが、『世宗大王艦』は装備されていません。
どの写真からもわかりませんが、艦中央には対艦ミサイル発射機が16基あるそうですが、韓国製で射程150Kと海自の対艦ミサイルと射程はほぼ同じ(公式には100K)ですが、探知能力は不明です。
全体的印象としては、よくもまあこれだけの兵器を満排水量1万トンの船に詰め込んだものだと感心です。
しかし、ASW(対潜戦闘)能力は余り高くないでしょう。近接戦闘能力の欠如も難点です。また、対艦ミサイル、巡航ミサイルを多数装備しているのも、むき出しの火薬庫があるのと同じで、被弾時には大きな弱点となるでしょう。
戦闘艦は、潜水艦以外は艦隊で行動するものですから、『世宗大王艦』が能力を発揮できるかは、艦隊を組む他の戦闘艦と、どれだけ、連携、サポートできるかにかかっています。
結論として、強力な戦闘艦ではあるが、対潜戦闘及び小型高速船に対する近接戦闘には難があり、被弾時の防御能力も高いとは言えないと言ったところでしょうか。
評価は、そのうち行われる日米の演習に参加すれば、黙っててもわかるでしょう。(頑張ってね!)