私の家族には小型の老犬がいました。
もう老衰で虹を渡りましたが、結構長生きしてくれました。

家族に迎えたとき、すでに老犬でした。
繁殖リタイア犬でした。
血統書の付いた、それはそれは可愛い、繁殖させたい位の可愛い小型犬でした。

ですが、度重なる出産で歯は抜け、
ブリーダーの飼育環境が悪く、背中は曲がり、毛は抜けて背骨が見えていました。
うちの家に迎えたとき、見た目は結構貧相でした。

ただ、母親のとても好きな犬種でした。

母親とのふたりの生活がつらくて、
私は犬が飼いたいとお願いしました。

私にも好きな犬種があり、お目当ての子犬に会いに、譲渡会へ行きました。

そこで、母親に一直線に向かってきた小型犬がいました。
母親の好きな犬種で、母親が簡単に恋に落ちました。
さすが年の功、営業が上手でした。

名前はビビちゃん、10歳の雌でした。

私はどの犬でも良かった、母親との関係のクッションになってくれるなら。
私はすぐに承諾しました。
母親の犬だと思って飼えばいい、と思っていました。
そんな気持ちで迎え入れましたが、
ビビは私にとって、この世で一番可愛い家族になりました。

ビビは10歳でしたが、繁殖犬だったため、譲渡のため避妊手術を受けました。
人間で云えば60歳を過ぎていました。
歯も少なく、腰も曲がり(檻に入れられていたためでした)、手術まで受けて。
ビビはうちの家に来て、しばらくはずっと緊張していました。
ちょうど、私の派遣の仕事に待機の空きがあったお陰で、私は約1ヶ月、ビビを迎えてから一緒にいました。
ビビが来たのは冬で、家が寒い造りだったため、私はいつもビビを膝に乗せて、約1ヶ月を過ごしました。

ビビは吠えない子でした。
吠えない子でしたが、私の姿が見えないと遠吠えをしました。
外見からは想像出来ない、雄々しい遠吠えでした。
私がお風呂に入ると、ビビの遠吠えが聞こえてきました。
馴れて欲しくて、何度か遠吠えを聞きながら入浴をしました。
その度に、ビビは色々なところにおしっこをしました。
私のパジャマ、よく使うクッション、よく直座りするカーペット、着ていた服など。
私の部屋ではトイレの失敗が無かったのに、
入浴するとおしっこがトイレ以外でされていました。
私はインターネットで検索をしました。
なぜビビは私の入浴中に、わざとおしっこの失敗をするのか。
答えは、「寂しくて、飼い主の匂いの強いものにマーキングをしている」でした。
私は自分の部屋からお風呂場まで、ドアを開けて入浴するようにしました。
ビビは時々、お風呂場まで様子を見に来ました。
なんならお風呂場のお湯を飲もうとしました。
それは止めて貰いました。飲み水はちゃんと置いてあるので。
しばらくして、ビビは私が入浴しても平気になりました。
10歳の老犬でも、ビビは色々学んでくれました。
トイレの失敗は、入浴のとき以外はほぼ無しでした。
トイレの躾に困った記憶がありません。

しかし、母親は、ビビのトイレの躾が出来ませんでした。
母親の部屋はトイレシートだらけでした。
居間もそうでした。

続きます。