side Misako
実「あーちょっと!痛いって!」
隆「ごめんって、どうやってやればいいのか分かんねーんだよ!」
ここは医務室。署に来てからすぐにここに来たが、あいにく普段は駐在しているはずの先生が居らず、隆弘が「よし!俺がやる!」と張り切って始めたはいいものの…
実「じゃあ何で俺がやるなんて言ったの!」
隆「だって…他にいないだろ?」
確かにそれはそうだけども…
それにしたって…
実「もう貸して!私自分でやるから!」
隆「やだ!俺がやんの!」
自分でやる、と言っても隆弘は聞かない。渋々隆弘に任せることにした。
しばらく包帯と格闘していた隆弘だったが、やがて満足そうに声を上げた。
隆「よし、出来た!」
実「へったくそ」
隆「やらせておいてそりゃないぜ」
実「だって、本当に下手くそなんだもん」
隆「じゃあ、もう一回やり直す」
実「ううん、いいよこのままで。ありがと」
一応頑張って巻いてくれたのでお礼をすると、案の定「後で病院行けよ?」と言われた。
実「別にいい気もするけどね、このくらい」
隆「いや、ダメ!行って」
実「はいはい、行ってくるよ」
適当に言いつつ、本当に行った方がいいかなと考える。
…まあ、後で考えよう。
隆「立てるか?」
実「平気平気」
隆弘に手を貸してもらいながら立ち上がり、医務室を出た。
あっ、申し遅れましたが私、宇野実彩子と言います。こう見えて…れっきとした刑事課の刑事なのです!
そして、隣にいる隆弘…西島隆弘は、私のバディであり幼馴染。
一言で言うと、ほんとにアホ。いっつも無茶ばっかりするし、人のこと散々茶化して最後に自分でドジるし。
でも、あの身体能力だけは認める。時々、ほんとに人間か疑いたくなるような超人的な事をしでかすの。幼馴染としてずっとそばに居ても、全然予測出来ない。
それから…モテる。隆弘は、何故かモテる。確かにかっこいい部類には入るんだろうけど、中身は全然だから!
そんな隆弘が珍しく、廊下に出ても私に気を遣いながら並んで歩いてくれている。
隆「大丈夫?歩ける?」
実「歩けますぅー」
隆「おぶってってあげよっかー?(笑)」
実「結構です!」
前言撤回。やっぱりバカにされている気がするけど…ツッコんだら負け。
自分で歩けますもの!
…なんて言ってたら、自分の足に引っかかって躓いた。
実「きゃっ」
隆「わっ危ねえっ」
間一髪のところで隆弘に支えて貰ったので、転ばずに済んだ。
隆「ほーらみろ、実彩子お前危なっかしいんだよ」
実「ちょっと躓いただけだもん」
隆「それが危なっかしいんだって(笑)」
実「だってぇ…」
そうしていると、いつの間にか『刑事二課』と記された扉の前まで来ていた。隆弘が扉を開けてくれたので、そこから中へ入る。
ここが、私たちの職場。
隆「ただいま戻りましたー」
「あれっ宇野ちゃん、足…どうしたの?引きずってるけど?」
私たちが戻ると、当然話題はそちらに行く。
さて、なんと言うのが一番良いかな…と思案し出した瞬間、隆弘が口を開いた。
隆「俺の真似して階段飛び降りたみたいで」
…ん?ちょっと待てこいつ!何言ってんのよ!?
実「誰があんたの真似なんか!」
隆「いやー分かるよ、その気持ち。なんてったって俺はスーパーマンだから。でも実彩子には無理だったな」
実「だーかーら!別に落ちたくて落ちたんじゃないの!」
「まあまあ、ケンカしない(笑)」
隆実「「すっ、すみません…」」
たしなめられた先輩に返すと、不覚にも隆弘とハモってしまった。ニヤニヤしながらこちらを見てきた隆弘を軽く睨み付けた。
「いいんじゃないか?夫婦漫才みたいで面白いし(笑)」
「それもそうだな(笑)」
隆実「「漫才してないですから!」」
はぁ…またハモってしまった。最悪。
周りから、どっと笑いが起こった。
隆弘、まだニヤついてるし。
でも…つくづく思う。平和だなって。
複雑な気持ちのまま席に着く。
やっぱり、立ってるよりも座っていた方が数段楽になった。
実「ふぅ…」
小さくため息を吐く。
こんな足じゃ、しばらく捜査には出られないのかぁ…。
ふと、一年前に隆弘が捻挫した時のことを思い出した。
To be continued...