千「待てーっ!!」
あたしは走り、真ちゃんも後ろから走って追いかける。
真ちゃんとはあの後結局バディになり、少しの間張り込みをしていた。
すると、場所が良かったようでちょうどそこに容疑者である男が現れたのだ。
あたしは追いかけ、真ちゃんが裏道に回り込もうとした時だった。
急に、あたしと真ちゃんで追いかけていた男が、立ち止まった。
かと思うと、振り返ってこちらに向かってきて、折り畳み式のナイフをあたしの首筋に当ててきた。
真「ちあちゃん!」
男「近づいたら、これでこの女殺すからな!」
やられた…その考えは無かった…!
それにしても…そんなナイフ一本で、あたしを脅そうっての?
舐められたものねぇ。
今更…怖くなんかないっての!
ジッと真ちゃんの方を見据えると、真ちゃんも察した様子で、頷いた。
すると、真ちゃんがいきなり緊迫した顔になって、空の方を指差した。
真「お、おい…!あ、あれ見ろや!」
真ちゃんがそう言った瞬間、男の視線か微かに動き、ほんのすこしだけ腕が緩んだ…今だっ!
あたしは、右肘を思いっきり男のみぞおちに食らわせた。
男「っ!?」
千「どりゃあっ!」
それから得意の回し蹴りを繰り出すと、爪先にナイフが当たって、地面に落ちた。
怯んだ隙に相手の背後に回り、膝の裏に蹴りを入れた。
手首を押さえ、ポケットから手錠を取り出して掛けた。
男「チクショッ、離せ!」
千「やーだ。とりあえず傷害未遂とか…まあ、その他諸々ねっ」
真「3秒…」
真ちゃんがボソッと呟いた。
肘打ち開始から、手錠をかけるまでの時間だろう。
あたしは、真ちゃんに向かってウインクをした。
千「こんなもんよっ!」
すると、向こうからバタバタと足音が聞こえて、何人かの捜査員が走ってきた。
千「こっちです!」
あたしは、手を振って場所を知らせ、捜査員の人に男の身柄を引き渡した。
これにて、一件落着!
あたしは、ふうっとため息を吐いた。
すると、真ちゃんがぽつりと言った。
真「ちあちゃんって…すごいな」
千「えっ?いやいや、全然そんなこと無いって!あたしなんて…」
なんか照れるなぁ、と思いながら、手を目の前でぱたぱたさせて言うと、真ちゃんは小さく笑った。
千「でも、どうしたの急に?」
真「…何でもあらへん」
千「真ちゃん…?」
そういう真ちゃんの表情が、どこか寂しげだった。
でも、真ちゃんはそれ以上何も言わなかった。
千「…あたしから見たら、真ちゃんはすごいよ。あたしに無いもの、たくさん持ってるもん。もっと自信持っていいと思うよ?」
真「…そうか?」
千「うん!だからほらっ、元気出しなって」
真「せやな…ありがとな、ちあちゃん」
改めてそんなことを言われると、何だか照れ臭い…と思い、少しだけ視線を外して言った。
千「あたしの方こそ、さっきはありがとう」
真「えっ?」
千「いや、あたしがナイフ向けられた時さ。真ちゃんの演技力はさすがだなって!」
真「逆に、あんなんで良かったんか?」
千「うん!あれが無かったらあたし未だに拘束されてたよ」
そう言って笑うと、真ちゃんは照れてはにかんだ。
…可愛い(笑)
真「あ、俺呼ばれたから行くな」
真ちゃんの声で我にかえると、奥で真ちゃんのことを呼んでいる声が微かに聞こえた。
千「うん。お疲れ様」
あたしが言うと、真ちゃんは微笑んだ。
2人で小さく、ハイタッチをしてそれぞれの仲間の元へと向かった。
To be continued...