前回のブログの続き。
命綱を握った2人。
なぜこんなことを企てることになったか。
去年から綿密に練られた計画だったことも。
そして最重要なことは、黒幕の居場所。
トカゲのボスを何度か黒幕の自宅であろう場所に送って行ったことがあるとのこと。
これは大きな収穫だった。
安心できたことは。
他に別の目的は告げられておらず、助っ人の事務所を破壊することで終わるということだった。
そして何より驚いたのは。
「この破壊行為でいくらもらうんだ?」
「30万です💦」
一瞬、空気が止まったが。
Jが。
「たった30万💦おい!正気か!?1回ポッキリでだろ!?💦働いてりゃ毎月もらえるのに?!うちの会社の給料は、その倍だぞ!?何やってんだよ💦そんな体力あるなら自分で稼げよ💦もったいねー💧」
思わず言った。
みんなも納得した。
本当だよね。
誰かに手を汚してこいって言われてもらう30万と。
自分で働いて手にする毎月の30万と。
どっちに価値がある?
それすらもいい歳して気付けないのか?!
何だか聞いてるこっちが切なくなった。
嫁が片腕の元若い衆に。
「30万。10人使って300万。20人使ったら600万。」
「そうですね。」
「え?600万使ってこの半端さ?」
「そこですか(笑)まぁやってる中身はほぼ無料ですからね。トラックは盗難車だし。投げ込んだ物は拾い物。スマホも使い捨てじゃないですし。あとは人力ですから。」
「結局、ハイパー嫌がらせをしてあっちは何を得たかったの?」
「何でしょうね。困らせるとか?(笑)」
「お金使ってまで!?もっと壮大なスケールでやらない?!600万よ!?」
ここで耳を疑う言葉が入ってきた。
片腕の若い衆が。
「(嫁)さん、(嫁)さん、600万でも300万でもないよ。」
「なんで?」
「コイツらまだ金、もらってないんだって。」
「うわ💦うわ💦体賭けて0円だって💦そこだけには同情するわ💧」
「もらえると信じてた方も悪くない?(笑)」
「よっぽどのおバカさんか、30万を大金だと思ったその金銭感覚に問題があるのか💧」
「どっちもじゃないですかね(笑)」
聞けば聞くほど呆れたけど。
より一層、トカゲのボスと黒幕のズルさは浮き彫りになった。
外装屋の友達が。
「上がバックレたってことは、これから(トカゲのボス)は(黒幕)に食い尽くされてポイだな。先、見えてんじゃん。」
この世界はそんなもんだとナンバー2は言った。
その言葉を誰も否定しなかった。
食うか食われるかだと会長も言った。
そんな中で何十年も生きてきたんだもんね。
今更、相当なことが起きても驚かない。
だから被害に遭った助っ人は笑ってたんだなって分かった。
こんなの今までよりはマシな方だって。
大したことないよってね。
オレだったら笑えない。
ケガの痛みと、破壊された家のショックと、怒り。
無理したって大丈夫!なんて言えないよ。
苦しさも厳しさもレベルが桁違い。
嫁が生きていればそれで良いって言った意味の重みを感じた。
嫁は元若い衆に聞いた。
「(元若い衆)はここに命懸けでいたわけでしょ?狙われてるって想定しながら。もし30万もらえたら嬉しい?」
「よくそんなバカなことを思いつきますね(笑)金が欲しかったら危険な場所に来ませんよ?もし何かあったら金、使えないじゃないですか。」
「あ、そうだよね。」
「金じゃない。(助っ人)の人柄がこうさせてるんです。ここを守れたらまた(助っ人)がここで生きていけるじゃないですか。」
良い言葉だなと思った。
自分より大切な人がいる。
助けてやりたい。
守ってやりたい。
そう思える人がいる。
命懸けの絆だと思った。