ドキュメンタリー映画「Keep On Keepin' On」を観た。
日本では公開されていない2015年公開の作品。

    
レジェンドのトランペッター、フリューゲルンホルン奏者のクラーク・テリーと

盲目の若手ピアニストであるジャスティン・カウフリンを4年間追った

ドキュメンタリーだ。
私は音楽情報誌等に情報を頼らないで音楽を自分なりに模索している。
私は評論家や解説者、大衆の嗜好などは全く気にしない、自分が好きか嫌いか

売れたから勝ちなんてかけらも思わないです。
逆にみんなが良さを分かっていない作品を見つけるのを快感に思う人ですw
そして今回偶然にネット上でクラーク・テリーのドキュメンタリーの名前を

目にしました。これは2015年にDVD公開された作品でした。
彼は2015年に94歳の大往生で他界されています。
私は9年間もの間見逃していたわけです(T_T)

さて本題です。
私が高校生の時にジャズを聴くようになったきっかけのアルバム

「Newport In New York '72」と言うアルバムがあります。


ニューポート・ジャズ・フェスティバルの会場がニューポートからニューヨークに

移った最初のフェスティバルです。
当時はVol.1からVol.6までアナログ盤が発売されていました。
高校生の私の友人の少ないマニアックな音楽仲間とロック、ブルースを色々と

模索している中で、一人がこの「Newport In New York '72」のVol.5を

購入してきました。
その仲間は少しだけジャズにも興味を持ち出していたので、恐らくジャケットに

B.B・キングの写真とクレジットがあったのでブルースを好んで聴いていた彼には

手に取りやすかったと想像できます。
そうしてその少ないマニアックな少年3人で針を落とし聴いたわけです。
私は早速カセットテープに録音して、それ以降テープが伸びてしまうほど

聴いていたアルバムでした。
(その後私達はジャズ喫茶に入り浸りになりますw)


そのアルバムにクレジットされているミュージシャン達は、スイングジャズ及び

ビバップ時代からのレジェンド達でした。
ジミー・スミス、ケニー・バレル、ロイ・ヘインズ、ズート・シムス、

クラーク・テリー、ジョー・ニューマン、イリノイ・ジャケーそしてゲストの

B.B・キング。
A面は「Blue 'N' Boogie」、そしてB面はメドレーで「What's New」、

「Since I Fell for You」、「The Man I Love」、「Ode to Billie Joe」の4曲を

ズート・シムズ、クラーク・テリー、ジョー・ニューマン、イリノイ・ジャケーの

順に演奏して最後にケニー・バレルとB.B・キングが
「Please Send Me Someone to Love」でギターの掛け合いをする中を、

この豪華メンバーでバッキングすると言う内容。
それをジミー・ズミスがハモンドオルガンB3でフットベースも含め全体を包むようなバッキングをしている素晴らしいライヴです。


A面の「Blue 'N' Boogie」は出来もしない高校生がコピーして演奏していましたw
B面は「Please Send Me Someone to Love」が目当で聴いていましたが、
その前のメドレー曲を聴いているうちにドンドンとハマっていき、

このレジャンド達の素晴らしいソロ演奏に聞き惚れるようになりました。
クラーク・テリーの「Since I Fell for You」でフリューゲルホルンと言う楽器は

そこで初めて知りました。
ジョー・ニューマンの「Ode to Billie Joe」のカッコ良さにも憧れて

私もこの曲を演奏したものです。
ボビー・ジェントリーの曲だと言う事を後に知ったぐらいです。
ズート・シムズとイリノイ・ジャケーのテナーサックスの音色の違いにも

驚いたものでした。
最後の「Please Send Me Someone to Love」でのレジェンド達のバッキングは

流石に一流ビッグバンドに参加していた人達と言える素晴らしい盛り上げ方です。
ドラムのロイ・ヘインズはこの曲のエンディングでは曲が終わっても興奮して

ドラムが止まらないw

話はそれますが、
日本でのアマチュアのビッグバンドは、たいていが吹奏楽の延長で群れていないと

演奏できないような人間が多いです。
逆に本当のスイングジャズ時代の人達は選ばれた人間しか参加出来ませんでした。
ジャズなんぞで飯は食えない中、有名フルバンドのメンバーと言う事は安定した

収入のある人達でした。
それはそれは一人一人、超実力のある人ばかりなわけです。
この時代の人達はチャーリー・パーカーなんかもそうですが、

本当に上手い人達ばかりで後のミュージシャン達は超えられないようなスキルを

身に付けていました。

今回のこのドキュメンタリー映画を観て、彼クラーク・テリーのアーティストとしても人物としての偉大さに改めて注目させられることになりました。
ちなみにクラーク・テリーのリーダーアルバムは共作を含め150枚ほどリリース、

そしてサイドマンとしては1500を超すクレジットがあります。
そして彼の最後の弟子である盲目の若手ピアニスト「ジャスティン・カウフリン」は既に9枚ものアルバムをリリースしていました。
おまけに日本への来日までしていました。

このドキュメンタリー映画は素晴らしい作品です。
内容はネタバレになるのであえて省略します。
この作品は本当にお薦めです、興味のある方は是非是非観てください。
※サウンドトラック盤のCDもリリースされています。

Clark Terry / Justin Kauflin - Keep On Keepin' On 2015

[Track List]

1a.  Clark Terry – Dialog
1b.  Justin Kauflin – Letter To Justin # 1
1c.  Justin Kauflin – Exodus
2.   The Oscar Peterson Trio, Clark Terry – Brotherhood Of Man
3.   Clark Terry, Metropole Orchestra – Candy
4.   The Oscar Peterson Trio, Clark Terry – Mumbles
5a.  Clark Terry, Justin Kauflin – Dialog
5b.  Duke Ellington – Mood Indigo
6.   Duke Ellington And His Famous Orchestra – Harlem Air Shaft
7a.  Justin Kauflin, Clark Terry – Dialog
7b.  Clark Terry, Justin Kauflin – Breeze (Blow My Baby Back To Me)
8.   Dave Grusin – Justin Leaving
9.   Clark Terry – Girl Talk (Orchestra – Peter Herbolzheimer)
10.  Jazz At The Philharmonic featuring Clark Terry – If I Had You (Live)
11.  Justin Kauflin – Dreams Change
12.  Clark Terry – Jazz Conversations
13.  Clark Terry – Michelle
14a. Justin Kauflin – Dialog
14b. Dave Grusin – My Biggest Enemy
15.  The Oscar Peterson Trio, Clark Terry – Jim
16a. Clark Terry, Justin Kauflin – Dialog
16b. Dave Grusin – What The Hell Time Is It?
17.  Justin Kauflin – Darkest Hour
18.  Jazz At The Philharmonic Feat.Clark Terry Quintet – Stardust (In London)
19.  Count Basie Orchestra – Blee Blop Blues (aka Normania)
20.  Clark Terry – Misty (Orchestra – Peter Herbolzheimer)
21a. Quincy Jones, Clark Terry – Dialog: Farewell
21b. Quincy Jones – I Remember Clifford
22.  Quincy Jones – I Remember Clifford
23a. Quincy Jones, Clark Terry – Dialog
23b. Justin Kauflin – Letter To Justin # 2
23c. Justin Kauflin – Exodus
24.  Justin Kauflin – For Clark