手術の翌日はゆっくりと出掛けました。 行く前に義兄が入所をしてる介護施設に寄ります。 静かな環境の…玄関左手に有る廊下の一室が義兄の部屋でした…。 (?)誰も居ません? (10時のお茶の時間で、食堂) だそうです。 椅子に座って、黙って居る人達…、(居ないョ)と言う私に甥が…(ホラ居た…)って…。言われても解りません、指差すかたに痩せて顔つきも変わった(記憶に無い)お爺さん。 皆さんに頭を下げながら義兄の傍に寄ります。 何処かあらぬ方を眺めて居る眼もと…(お父さん、キーチャンが来てくれたよ)と姉が言って、此方を向きます。(キーコ叔母ちゃんだよ、解る?)と言う甥の声に小さく(キーコ)って…(解ったんだね)、と甥が振り向き、私は痩せこけた義兄の手を握りました。言葉より先に溢れる涙。 長い公務員生活でしたね、観光課に所属して、自室を持ち、毎晩の様に飲めや歌えの愉しい生活~。 その義兄がこんな姿になるなんて、誰も予想をしませんでした。 治る望みが無い病です。玄関の硝子に顔を押し付けて別れの手を何度も振って居ました。…生きてはモウ会えない。…私も必死で手を振りました。