「逆撫で読み」、とくに『ガラスの仮面』についての日記には、多くのかたにコメントをいただきましてありがとうございます。もうひとつ、続けて書きたいことがあります(^_^)/


 「逆撫で読み」といわれて、「そんなこと、なかなかむずかしいな」というかたでも、この本を読むのに、自然と逆撫でしてイメージをふくらませて読まざるをえないという本があります。


それは、―――倉本聰さんのシナリオ本です。


『北の国から』
『前略おふくろ様』
『赤ひげ』

『浮浪雲』
『昨日、悲別で』


いずれでもいい。おすすめです。


 私が学生時代から教員になったころ、『昨日、悲別で』が放映されていました。学校のビデオデッキで録画したビデオテープ、まだあります。最終回です、映像わるいですけど。「おれは男だ!」の最終回と一緒にテープにはいっています。


 倉本さんのシナリオでは、会話のところで、「――――」という表現がよくされています。この「――――」では、その登場人物はどんな顔をしているのかとつい考えてしまいます。


 また、倉本さんのシナリオでは、単に単語を並べて書いているところがあります。ここでは、どういう表情なのかと想像してしまいます。映像を映しているカメラの目として、どう撮るのがいいかなとか。


 以下、『赤ひげ』から一部、引用してみます。ぜひ、やってみてください(^_^)/ 第1回の放送分の冒頭場面です。


++++引用開始++++


<坂道>


ひぐらし。
陽炎がたっている向う下りの坂の地平に、ポツンと一つの頭が現れる。
頭は顔となり、上半身となる。
保本登、二十四歳。
坂を上がってきた保本の上半身は、やがて画面の情報に切れ、下半身が現れ、やがて足となる。
その足が画面中央で止まる。
保本の顔。
苦い顔で目を落とし、黙々と坂道を門のほうへ歩く。
 (引用者中略)


<小石川養生所>


そこに打ちつけられた「小石川養生所」の看板。


<同・門前>


足早やに坂を上がってきた一人の青年が、彼を追い越して門のほうへ行く。
青年はフッと足を止め、保本をふり返る。


青年「失礼ですが――」
保本「?」
青年「保本さんじゃありませんか?」
保本「――(うなずく)」
青年「お待ちしてました。私は津川玄三というもンです」
保本「――」
津川「ご案内します」

 (以下略) (『倉本聰コレクション14 赤ひげ(1)』理論社刊より)


++++引用終了++++


 自分でカメラマンや監督、演出家になったつもりで、「逆撫で」しながら楽しく読めます。ちなみに、このテレビ放送のキャストは、赤ひげが小林桂樹、保本登があおい輝彦でした。たぶん、私は、このドラマはリアルタイムで、みていたと思う。


 この倉本聰さんのことは、私が思いついた方法ではなく、前に書いた佐藤泰正先生より、大学時代に聞いた、倉本聰さんのシナリオのすすめの受け売りなんです。一ヶ月前、佐藤先生が、本学での講演されたときも、倉本聰さんのお名前がでてきました!(^^)!


 『北の国から』。再放送で何度か放映されましたが、その当時、ビデオデッキをまだもっていませんでした。それで、私はもっぱっらカセットテープに録音していました。まだその当時に録音したカセットテープを持っています。音だけきいて、想像、創造するのもわるくないですね(^_^)/


 シナリオならなんでもいいかというとそうでもなさそうです。それぞれ、シナリオ作家の書き方がちがっているので、他の方はなんともいえません。たとえば、橋田壽賀子さんの作品では、私は「おしん」とか「いのち」とか読んだことありますが、よく言われるように、ナガゼリフだし、ちょっと説教くさい(^_^;) 映像のイメージより、ことばで理解してしまうのが強い感じがします。


 そういえば、井上ひさしさんがあるエッセイで、戯曲のたのしみを書かれていましたね。自分の好きな俳優をその登場人物に配役して、読めばいい、みたいなこといわれていましたね。


(文責:穴見嘉秀(あなみ よしひで)@九州大谷短期大学表現学科情報司書フィールド助教授  a73@nifty.com )