日本の古典作品、たとえば、『奥の細道』とか、『源氏物語』、『万葉集』、『徒然草』など音読をするとどれくらい時間がかかるでしょうか?


 『奥の細道』・・・三十五分~四十二分
 『源氏物語』・・・三十八時間半
 『万葉集』・・・二十時間
 『徒然草』・・・三時間
 『平家物語』・・・二十時間


くらいなんだそうです。


 「朗読」と「音読」をここでは区別しています。誰かのためにその意味内容を伝えるという「朗読」ではなく、自分が自分のために、自分の耳で聞いて楽しむために声をだして読むことを、ここでは、「音読」とします。

 古典の音読は、自分の話し言葉を鍛えることにもなる、とはだれがいっていたっけ? 大村はま氏の本で読んだ記憶があります。


 さて、上記の時間は、国語教育者の野地潤家氏が自分で体験しての時間です。『大村はまの国語教室 3 学ぶこと』で、こんな発言しています。

++++引用開始++++


 日本の古典作品は一通り読むににどれくらい時間がかかるかということを言って、思い立てば古典作品というのは、わりとちゃんと読めるんだということを学生諸君――いずれも教師になる人ですけれども――に知らせ、また朗読を実行させたいと思いまして、例えば『奥の細道』ですと、すこし遅く読めば三十五分、ゆっくり読めば四十二分くらいで初めから最後まで読めるとか、『源氏物語』はたいへんで、私の計算では三十八時間半かかるというようなことをやってみたのです。 (中略)
 私は『源氏物語』をまだ四回半ぐらいしか読んでおりませんので、五回目全文を読み通すのはまだ途中でとまったままになっておりますが、『万葉集』全二十巻、四千五百十六首ですと、一首を二回繰り返しましても、だいたい二十時間とか、『徒然草』二百四十三段は、ほぼ三時間とか、『平家物語』は二十時間とか。古典の原文そのものを直接繰り返し読んでいくのは、ほんとうに快いことでしたし、また発見と収穫の多い行為でした。私が古典そのもののこの繰り返しから得たものははかりしれません。(前掲書54p)

++++引用終了++++


 野地氏の本で、違うタイトルの本だったと思いますが、大学時代、休日、みんなあそびに行くんだけど、そういう娯楽もお金もなく、野地氏は、寮で古典を音読していたみたいなことを書いていらっしゃったのではなかったかと思います。


 学生は貧乏なのが当たり前。しかし、時間はある。その時間をこういう使い方をするのも、心豊かに生きるヒントかも(^_^)


 私も学生じゃないけど、なにもお金がかからない、この「朗読」「音読」を楽しみたいと思っています。


(文責:穴見嘉秀(あなみ よしひで)@九州大谷短期大学表現学科情報司書フィールド助教授  a73@nifty.com )