五 具体例「俳句で遊ぼう」
以上のことをふまえ、ここでは「読書へのアニマシオン」の具体的な作戦を例にとって考えてみたい。取り上げるのは、「俳句の作戦」、当誌二〇〇〇年五月号、佐内信之氏の修正追試である。
佐内氏は、俳句の作戦を「俳句の一部を伏せ字にしたクイズ形式のゲーム」とし、
次のように実践された。
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│・俳句カードを一枚ずつ配る。
│・さらに、解答用紙も配布し、3分間で
│答えを書かせる。
│・時間になったところで一つずつ発表す
│る。
│・黒板の全員分のカードを貼り、子ども
│達の答えを書き添え、みんなで検討する。
│・残り十分で話し合いを打ち切り、最終
│的な各自の答えを考える。
│・教師が正解を発表し、答え合わせをし、
│成績発表する。
└──────────────────
これに対し、私の修正追試は、以下の通り(スペインで体験した俳句のアニマシオン)のやりかたである。
┌─────────────────
│・俳句の一部を伏せ字にしたカードを一
│枚ずつ配布する。
│・思いついた頃をみて、一人一人にあて
│て答えてもらう。その際、隣の人にも、
│同じ句に何を入れるか、答えてもらう。
│・答えたものを板書しながら、ひととお
│り全員終わった後、一句ずつ、他の意見
│はないか聞く。そして、その俳句の作者
│は何を入れたかを言う。
└─────────────────
「読書へのアニマシオン」は、勝ち負けを競う「ゲーム」でも、正解を当てる「クイズ」でもない。この俳句のアニマシオンでも、正解ができたかどうか評価するのではなく、自由に言葉をいれて楽しくすごし、そして作者の選んだ言葉に感心する、そういう「遊び」なのだ。
たとえば、次のような句がある。
┌──────────────────
│ 男の子 すみで小さく ―――――
└──────────────────
私の実践するアニマシオンでは、 ――― に実にさまざまな言葉をみんな自由に創造する。「まるくなる」「ないている」「立ち小便」「盗み食い」・・・そして、いろいろ言ってもらった後に、「実は、きれいに季語がはいるんですよ。この作者の選んだ言葉は・・・『ひなまつり』です」とまとめた。参加者は「へー」「あー」と感心する。
六 エデュカッション
最後に、「読書へのアニマシオン」は「読書教育」である、ということについてひとこと付け加えたい。この「教育」ということばはくせ者である。エデュカッション(英語ではエデュケーションeducation)を「教育」と訳すと、「一方的に教え込む、詰め込む」というイメージがつよくなる。educe は、本来「引き出す、伸ばす」という意味だ。エデュカッションは、「教育」と訳すより、「啓発」と訳したほうがいい。もっとふさわしいのは「開智」。「開智」―その人のすぐれた知識と智恵、すぐれた個性を開く、引き出す、伸ばすことだ。
子どもたちの力を引き出す「開智者」として、読書へのアニマシオンを、子どもたち一緒に、楽しく遊んでいただきたい。
著者プロフィール
穴見嘉秀
あなみよしひで 1959年生。
大分県出身。九州大谷短期大学表
現学科情報司書フィールド助教授。
著書『「朝の読書」がもっと楽しく
なるアイデア集』(学事出版)。
『読書へのアニマシオン・ワ
ークショップ』(8月刊行予定)
(文責:穴見嘉秀(あなみ よしひで)@九州大谷短期大学表現学科情報司書フィールド助教授 a73@nifty.com )