三 聞く力と調べる力


 さて、本編集趣意書によると、私の役割は、<「言語力」>の<大きな要素の一つである「聞く力」やそれに基づいた「調べる力」などの育成を学校教育においてどのように育んでいけばよいか、具体的に述べ>ることである。ということは、<「聞く力」のみならず、それに基づいた「調べる力」などの育成>について述べなければならないということだ。
 文字・活字文化振興法は、実は、骨子案の段階では、「読む力、書く力および調べる力を育」むとなっていた。それが最終的には、「読む力及び書く力並びにこれらの力を基礎とする言語に関する能力(以下「言語力」という。)の涵養に十分配慮されなければならない」となる。
 「聞く力」に基づいた「調べる力」ということで、次のようなとらえかたを私はしている。前述のように、「きく」という漢字には、三つあてはまるものがあった。「聞く」・「聴く」・「訊く」である。英語で言えば、「聞く」は、hear 、「聴く」は、listen to、そして「訊く」はask があてはまる。この「訊く」(ask)では、例えば、「相手に直接会って、必要な知識、情報、考えなどを聞き出す活動」であるインタビューなどが、「調べる力」につながるものであろう。
 人から「訊く」、きいて「調べる」ということで、事前に、質問事項を考え、それを並べ、実際に人にあって、訊くということが現場ではよくされている。しかし、話が盛り上がろうと盛り上がるまいと、質問をメモした順番通り、機械的にしてはいないか。これはもったいない。前述した杉本氏のいう「聴くコツ」のなかの、「相手の話の中から訊こう」「頭に描きながら訊いて、訊こう」という意味をぜひ考え、そういったインタビューのコツなどもぜひ指導しておきたいものだ。私は、NHK日本語センターの研修で、そのトレーニングを体験させてもらったことがある。

 「調べる力」ということで、ここでは「図書館」関係団体の二つの資料をとりあげたい。
 ひとつは、全国学校図書館協議会がまとめた「情報・メディアの活用する学び方の指導体系表」である。「児童生徒が自ら課題を見つけ、調べ、課題を解決し、まとめていく一連の学習過程に沿って」いるわけだが、「図書館」、「博物館、資料館、美術館、行政機関、企業、その他の施設」や「参考図書、新聞、雑誌、ファイル資料、視聴覚メディア、電子メディア」を利用・活用し「情報を収集」することが、小中高での調べることの指導として体系化されている。
 今ひとつは、日本図書館協会の図書館利用教育委員会がまとめた「図書館利用教育ガイドライン」である。ガイドラインでは、五つの領域として(1)印象づけ(2)サービス案内(3)情報探索法指導(4)情報整理法指導(5)情報表現法指導にわけているが、「調べる」ことに直接関係するのは、「(3)情報探索法指導」である。
 情報探索法指導として、
 ・資料の基本タイプと利用法
 ・情報機能のアクセスポイントと使い方
 ・検索ツールの利用法
 ・自館資料の組織法と入手法
 ・レファレンス・サービスの利用法
などが具体的にあげられている。
 「調べる力」は、その内容が十分に解明されているわけではないのだが、司書教諭を中心に、教科担当教諭、司書が連携をとって、図書館をつかった「調べる力」の養成を推進していきたい。
 司書教諭の資格を取るための科目として「情報メディアの活用」を、三年前から福岡県教育センターで担当させていただいている。その中で、この「情報・メディアの活用する学び方の指導体系表」「図書館利用教育ガイドライン」は必ずふれることにしている。「調べる力」の養成としてぜひ、知っておいていただきたいことであり、ここからスタートしていただきたいからだ。


(文責:穴見嘉秀(あなみ よしひで)@九州大谷短期大学表現学科情報司書フィールド助教授  a73@nifty.com )