とりあえず、公表しておこうと思います。公表しておけば、日記には何月何日何時と証拠が残るし、仮に誰かが、無断で引用しても、多くの人が証人になりますからね。(^_^)
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『読書へのアニマシオン 開智ハンドブック①』
― 穴見の読書へのアニマシオン・ワークショップ ―
ワーク1 『へびくんはらぺこ』で遊ぶ
(講師を中心に、サークル状になって座る)
穴見:それでは、「読書へのアニマシオン」のワークショップをはじめたいと思います。
私は、2001年の12月に、スペインに行って、読書へのアニマシオンのワークショップをうけさせていただきました。スペインからかえって、自分の知っていることを伝えようと、今、日本でもアニマシオンが広まっているから、共有できることは共有していこうということで、ワークショップをさせていただいています。
今日は多くの作戦、あ、作戦っていいます。アニマシオンというあそび、本であそぶのですけど、作戦を8,用意しています。全部できるかどうかわかりませんけど、その中のいくつか、やりたいと思います。できるだけ、積極的に前にでてきてください。こちらの前のほうにでてきて、体験していただけたらと思っています。
では、私がワークショップでいつもやっていることからはじめます。席替えをしますね。誕生日ごとすわりなおしていただけますか。ここが4月で、順番に並び替えていただきます。誕生日、生まれた日です。生まれた年は、関係ありませんよ(笑)。うまれた日にちでけっこうです。何月何日で、いきます。
じゃあ、どうぞ。 おっ、早いですねえ。いつも、私のワークショップはこういうことからはじめます。なぜかというと、それにはわけがあります。今、みなさんがたがその自分の位置に行くのに、黙って行かれたかたいますか?いませんよね、いないはずです。かならず、他のかたとコミュニケーションをとりながら、自分の誕生日を言ったり、他のかたの誕生日を聞きながら動かれたと思います。
読書へのアニマシオンの本質はなにか、というと私はいつも3つのキーワードがあると言っています。
私なりの解釈なのですが、一つ目のキーワードは、この「コミュニケーション」。今の席替えは、この「コミュニケーション」を体験していだだくためです。コミュニケーションをしながらのもの。
そして、二つめのキーワードは「遊び」であること。よく「読書へのアニマシオン」を「読書ゲーム」というかたがいます。「ゲーム」という言葉をつかうと、どうしても勝ち負けのイメージでとらえられかねないので、私はあえて使わないことにしています。
最後に三つ目のキーワードは、「本・読書・おはなし・詩」です。
この「本・読書・お話・詩」で、参加者が「コミュニケーション」を楽しみながら「遊ぶ」こと、これが「読書へのアニマシオン」だと頭に置いていてください。
私は、スペインで五日間、40時間セミナーというのを受講しましたが、そのときワークショップを受けるときに言われたのは、子どもになったつもりでうけてもらいたい、子どもになれったって子どもになりきれるわけはありませんが、子どもになったつもりでうけてもらいたいということでした。なぜかというと、今日、受講されているかたには、実は私がやっている役割を現場にかえってやってもらいたいわけです。私がやっている役、これを「アニマドール」といいます。あとでまた、言葉の説明はくわしくしますが、アニマドールになってもらいたいわけです。アニマシオンを子ども達と一緒にすすめる進行役になってもらいたいわけです。そのときに、子どもに対してやるわけですが、こどもだったら、どう受け取るか体験してもらいたい、ということで、子どもになったつもりで参加してもらいたいわけです。
それでは、実際に「アニマシオン」の作戦をします。
幼稚園・保育園年長さん。小学校1,2年生くらいのつもりで。さきほどいいましたが、騒いでもかまいませんよ(^_^) いろんなこどもがいるということで、アニマドールとしての私がそういう状態にどう対処するかもぜひみていただきたいと思います。
では、みなさん、子どもです。今日は、これから一緒に本を楽しみましょう。
『へびくん はらぺこ』という題名の本をもってきました。ブライアン・ワイイルド・スミスという人が絵とお話を書いた本です。らくだ出版というところからでています。らくだ出版からそういえと言われましたので(笑)。
じゃあ、この本を使って、みんなと遊びたいと思います。いまから、一冊ずつ、手渡ししますね。本をちゃんと読める子もいますし、あまり読めない子もいるかもしれません。私が読みますので、「次のページ」っていったら、そこを開いてね。(配布)
それでは、『へびくんはらぺこ』という題名の本を読みます。それでは、同じページからはいりましょうかねえ。このページをひらいてくださいね。
次のページを開いてねって、言ったら開いて下さいね。先をみたい子もいるかもしれません、本をすらすら読める子もいるかもしれませんが、今日はいっしょに楽しみましょう。絵をしっかりみておいたらいいですよ。
じゃあ、次のページを開いて下さい。 (よみきかせ。ページをめくるときは「はい、次のページ」という。よみおわって)おしまい。でした。
以上でした。『へびくん はらぺこ』という題名の本ですね。はらぺこの意味わかりますか? 今、はらぺこな人?(笑)
おはなしどうでしたか? おもしろかった?
それでは、このお話であそびたいとおもいます。いちおう、本は返してください。(回収)
ここにペープサートがあります。これをひとりひとつづつとってください。(とってもらう)。裏返しにしておきますので、見ないでとってくださいね。
では、うらがえして、みてください。自分がもっている動物の名前分かる? ちょっと、確認しましょうか。
それは?、
A:らいおん
B:かめれおん
穴見:これはなんでしょう?
C:じゃこうねこ
D:へび
穴見:へびですねえ。
E:さる
F:チータです
(オウム)
オウムですね。
これは
(わかりません)
・・・覚えている人いる? そう、うしかもしか。
(やぎ)
やぎ
(ハイエナ)
そう、ハイエナ
(ペリカン)
ペリカン
(ほろほろちょう)
ほろほろちょう
(きつね)
きつねね
(さる)
そう、さるですね。
(ぞう)
ぞうですね。
はい、それではこれをつかってあそびたい思います。もう一回読みます。読みますから、その今自分がもっている動物の名前がでてきたら、「ここ!」っていってください。また、このなかに「どうぶつ」とか「みんな」ということばもでてきますね。そのときは、みんなで「ここ!」っていってください。ちょっと練習してみましょうか。
ぞう
(ここ!)
へび
(ここ!)
どうぶつ
(みんなが「ここ!」)
よく聞いていてね。じゃあ、読みますよ。
(もう一回読み、みんなは動物名がでてきたところで「ここ!」と反応)
おしまい。どうでしたか? へびはたいへんだったねえ。もう一回、本をみたい人はみてもいいですよ。
じゃあまた二週間後にちがう本であそびましょう。で、おわりなんです。
ペープサートのほう、お返し下さいね。
では、とりあえず、「読書へのアニマシオン」の作戦を体験してもらったので、ちょっと解説をしたいと思います。
現在、読書へのアニマシオンを勉強するには、『読書へのアニマシオン 75の作戦』(柏書房)というのが基本になろうかと思います。ここにもってきたのは、この本の原書です。スペインで、モンセラサルトさんのサインをいただいてまいりました。私がスペインにいったのは2000年12月。おわって、こういう修了証書をいただきました。
スペインに行って、一番最初に体験したのは、この26番目の作戦、「ここだよ!」です。この「トリビオと魔法のぼうし」という本をつかって体験しました。トリビオという主人公が、魔法のぼうしをみつけて、いろいろねがいごとをいうんです。そうすると、いろんなものがでてくる、ねがいごとがかなう絵本でやったのです。お話のなかで、そのことばがでてきたら、「ここです!」と反応するそういうあそびです。私は、ちなみに、「ぼうし」があたって、何回かでてきてたいへんでした。むこうでは、ぼうしとかトリビオとかりんごとねこかがペープサートとして用意されていました。
本がよめても、よめなくてもさし絵をみておいてください。
で、読んだあと、私、感想をききましたでしょ。「みなさん、どうでしたか?」って。これ、よく、読み聞かせのときは、感想を聞くなと言われると思います。私の、ここでの感想の聞きかたを思い出してください。「どうだった?どうだった?」みたいな感じではなかったでしょ。感想をきくほど無粋なことはありませんね。これで、本キライがうまれる。読書感想文もそうかもしれません。感想文指導を熱心にされている先生、ごめんなさいね(笑) あるんですよ、よくこんなこと。
斉藤敦夫さんという作家がいますね。『冒険者たち』、ガンバの話を書いたかたです。以前、福岡で講演を聞いたことがあります。そのときにこんなこと言われていました。
私の大好きな先生がいっぱい本を読んでくれた。『山芋』という児童詩集がありますが、ああいう感じで御指導されていたそうです。よく、読み聞かせをしてくれた。あるとき、子どもたちに「この本どう思う?」みたいに聞いて、こたえられなかったそうです。本当に感動したら、それに答えられません。すぐにことばにならない。おもしろかった、感動したしかいいようがないし、でも、そんなことばで表せるほどのおもしろさじゃないし、感動でもない。こどもに感想をきくことこそ無粋なことはない、子どもに感想を聞くな、ということでした。
私が、「みなさん、どうでしたか?」と聞いたのは、なにかしゃべってみたい子がいたら、うけとめるという意味なのです。そんなに子どもたちから感想を引きだそうというような感じじゃなかったと思います。だから、たとえば「おもしろくない!」という子がいて、そう言葉を発してもいいわけです。そういうときは、「ああ、あなたにとってはおもしろくなかったのね」みたいに、うけとめればいいわけです。
で、そのあと、「この動物はどう?」みたいに聞きました。おはなし、どうでしたか? おはなしですか? それとも絵ですか みたいなことを軽く聞く。
そして、そのあと、ペープサートを持ってきていることを言って、みんなにとってもらって、自分のがなにか確認しました。自分のもっているのがなにかわからず、不安な子もいるかもしれません。ですから、みんなで確認をしたわけです。もし、わからなくても、あ、ちょっと、みんなにきいてみようかと聞けます。さっき、アニマシオンをやってみるとき、まちがってもいいからね、という感じでやりましたよね。「よく、聞いていないからよ! ちゃんとさし絵をみてないから、わかんないのよ!」とはいいませんでした。これ、大事なことです。「勉強」じゃないわけです。
アニマシオンは楽しいということで、「どきどき・わくわく・アニマシオン」という気持ちが大事ですね。期待感にみちた遊びであること。楽しみの中でやってもらいたい。これ、一歩まちがうと、「どきどき・びくびく・アニマシオン」(笑)になるんです。そうならないように、アニマドールがフォローしながら、進行させてください。「どきどき・わくわく・アニマシオン」、ぜひ、おぼえておいてください。
『読書へのアニマシオン 75の作戦』(柏書房刊)には、75の作戦それぞれのやりかたが、詳しく書いてあります。
タイトルの意味、「ここだよ」。スペインで私たちの研修では「ここです!」と言ったんです。スペイン語でいうと「アキエスタ」というのだそうです。長いですよね。私は、福岡県人で「ここだよ!」みたいなおしゃれなことばを使いませんから(笑)、私は「ここ!」に変えました。
今日、この遊びをやっていて、自分のペープサートに反応して、何人かのかたが「はい!」と言われましたね。私も、むこうの研修で「はい!」って言ったのです。それで、あとから質問しました。「<ここです>ということばが長いから<はい!>じゃ、だめですか」ってきいたのです。そしたら、こう答えてくれました。「<アキエスタ>、スペイン語ではよく使われることばですけど、日本語で<ここ!>など、子どもが覚えやすいことばだったら、なんでもいいです」と。だから、こちらの地域で一番覚えやすい言葉にすればいい。で、参加しているあるかたが、「はい!だと授業で出席をとっているように思いませんか」と言われました。アニマシオンをする雰囲気というのは、机があって、一斉授業をうけているような感じじゃないほうがいいんです。今日は、椅子だけで、椅子をまーるくならべていますよね。これ、大事なことです。アニマシオンは、勉強勉強したものと切り離して考えて欲しい。勉強で、授業をうけるということだと、どうしても、幼児・児童・生徒の授業態度が気になったり、評価の対象ということになりますよね。どうしても、特に先生がアニマシオンをすると、そういう雰囲気になってしまいます。だから、ここでも「はい! というのが授業みたいだったら、あまりよくありません。授業とは違う雰囲気でやることが大切です。はいというのが出席をとるイメージを思い出させるのであれば、それは使わないほうがいい」というふうに言われました。
あとで、まとめていいますけど、アニマシオンをやる場所も工夫が必要です。普通の教室のように、机がきちんとならべているようなところではやらないほうが楽しめると思います。私は、むこうでのセミナーでもそう感じました。日本でやっているアニマシオン、いろいろあります。机はそのまま、グループにしているような感じでやっているものがあります。その写真をスペインのかたがみて、「これは私たちが進めているアニマシオンとは違う」と言われました。私の知り合いで、鳥取のかたがいますが、よくこの先生は、音楽教室とか図書館とか、普段とはちがう場所でアニマシオンをされると言っていました。普段の教室授業と雰囲気をかえる。かりに普通教室でやっても、机を後ろにやって、椅子だけにするとかがいい。私は、高校だとコモンホールといって、下がじゅうたん敷きになっているようなところでやったりしました。そういう工夫をします。
読書へのアニマシオン、映像で学びたいというかたにおすすめなのが『ビデオ 読書のアニマシオン』(柏書房刊)です。他に、いくつか読書へのアニマシオンをあつかっているようなビデオが販売されていますが、現在、私がおすすめできるのは、このビデオしかありません。内容は15分くらいにまとめられています。これは、モンセラ・サルトさんたちのグループ(ESTEL文化協会)が制作されたものに、日本語字幕がつけられたものです。このビデオにも「ここだよ!」の作戦の映像があります。ところが、ここに映っている映像は、はじめ読み聞かせがしていないまま、ペープサートを配っているやりかたです。ですから、この映像をみた人は、いきなりペープサートを配って、本の読み聞かせをして、ことばがでてきたら「ここ!」というようなものだととられかねないつくりになっています。でも、そうではありません。「ビデオでは読み聞かせをしていなかったが・・」というような質問をスペインでしました。「ほんとうは読んでいた。ビデオにとっているのは一部分だけ。ちゃんと読み聞かせをしていた」という返事でした。ものごとを理解するときは、ほんとうによく注意しなくてはいけませんね。
この作戦をするときわすれてはならないのは、こどもの注意力がどの程度かということです。注意力があまりなさそうなときは、短いお話がいいかもしれません。とにかく、登場人物がはっきりわかるものということです。参加人数がたくさんの場合は、同じ内容(たとえば、へび)が複数でもいいということでした。
この本には、あと、参加者、ねらい、責任者としてどういう人がふさわしいか、必要な素材と手段、実践方法、所要時間、興味・関心と難しさ、行ったアニマシオンの分析」といった項目が書いてあります。だいだい、私が今行った手順です。こういうペープサート以外に、紙コップをつかう方法もあると教えていただきました。コップに絵をはりつけて、ペープサートみたいにつかうんだそうです。
(文責:穴見嘉秀@九州大谷短期大学表現学科情報司書フィールド助教授)