2022年10月、将棋の公式戦で佐藤天彦九段がマスクを長期間していなかったという理由で反則負けになったという事件が発生した。

 

佐藤天彦九段、マスク不着用「一発レッド」 条文に詳細記載なく疑問も | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 

この事件に関しては、「日本将棋連盟の規定に、どれほどの時間マスクを外していたら反則に当たるのかやマスク不着用の時間が長いことへの注意喚起などに関する具体的規定が無いこと」を問題視する声があがった。勿論、これらの声は正しい。

 

個人的に、本事件で最も根本的な問題は、「将棋の対局に関する罰則が全か無かという両極端な制度になっていること」だと見ている。

将棋の公式戦では遅刻をすると、遅れてしまった分の時間に応じて元々の持ち時間が減らされるというルールがあるのだが、このルールを除けば、実は将棋における罰則は、厳重注意という「実質的なお咎めなし」か「即座の反則負け」の二つしか存在しない。

つまり、「実質的なお咎めなし」と「即座の反則負け」の間に該当する罰則が何一つ設けられていないのである。

 

その結果、現状では「もはや反則とは言えないかもしれないような著しく軽微なミスに対する罰則」が二歩などといった明白な反則行為と同じ重さの罰則となってしまうことも普通にありうる。

 

あくまで私見だが、「実質的なお咎めなし(厳重注意)」と「即座の反則負け」の間に該当するような罰則があっても良いのかもしれないと感じている。