2005年、小泉政権は郵政民営化の是非を有権者に問う選挙を行った。

この選挙は小泉政権サイドの圧勝に終わったが、彼らは『郵政民営化を進めるための企画書』を利用していた。

この企画書の表では「D層」とは直に書かれておらず、「名無し層」や「命名無し層」といった扱いになっている。

 

一方、この企画書におけるB層という用語を社会分析に援用した哲学者、適菜収氏は『ゲーテの警告』にて、表にD層という語句を明記した上で「負け組、ひきこもり、ニート」といった例示を行った。(ただし、書籍の本文ではなく帯に書かれた表なので、適菜氏本人ではなく編集者が書いた表である可能性もある。)

 

ただ、この例示は正確とは言えない。

「負け組」はA層の「(財界)勝ち組(企業)」との対比であろうし、特に問題はないが、「ひきこもり」や「ニート」は「不況によって職を失ってやむを得ずそのような境遇になった人」も含む。また、「ひきこもり」や「ニート」の中には構造改革に肯定的な人も或る程度いるはずである。

そのため、D層は企画書の一部を引用し、「既に失業などの痛みにより構造改革に恐怖を覚えている層」と定義するのが無難かと思われる。

(表で「既に失業などの痛みにより構造改革に恐怖を覚えている層」のIQが低めに位置づけられているのは、「IQが高ければ失業を回避できたはず」という前提に基づいているためかもしれない。ただし、実際は優秀で実績も出していた社員が人員整理の影響で解雇されるなど、個人の努力やIQが報われない形で失業してしまうケースもあるので、その前提は必ずしも成り立たない。)

 

 

余談だが、この『企画書』、大儀よりも大義の方が自然な漢字表記なのでは。実際、適菜氏の本では大義となっている。