〇タイトル
track19 excoriated the Black Butterfly
第三巻 p91~109
〇分析
★p91
自信を取り戻すウルフィーナ。
★p92
扉絵。track19が連載されていたのは、ちょうど1999年のクリスマスだった。ウルフィーナの腕には「地獄からのサンタクロース」とある。ウルフィーナの胸にある<Hey Sucker><DIVE into here NOW>とは「そこの坊や」「今すぐ ここの中へ飛び込みなさい」という意味。suckerには「乳飲み子、騙されやすい人、未熟者」といった意味があり、複数の意味に取れる。
★p93~98
ウルフィーナはバルムンクに突撃するが、一瞬で反撃される。だが、ガンマはバルムンクの刃物による攻撃を自分の左手でガードした。ガンマはウルフィーナに「てめーの役目は弟を助けることだ」「そして俺の役目はバルムンクをブン殴ること」(バルムンクにはこいつとルビが振ってある)と言い、魔術列車を切断した。その結果、ウルフィーナが立っている先頭車両と「自分とバルムンクが立っている車両」とに分かれた。これによって、ウルフィーナはエミリオと一緒に、ガンマはバルムンクと一緒になった。バルムンクは、ガンマがウルフィーナを守ろうとしていたことを見破るが、ガンマはその真意を伏せようとする。だが、「ウルフィーナたちがいる車両にうち(サーカス団)の団員がいる」と告げられると、ガンマは良心から「はっ」としてしまう。その様子をみてバルムンクは「堕ちたものですね」とがっかりしながら、突如現れた銃でガンマを攻撃する。
バルムンクは刺激を求めるために、死者の指輪を求めている。「今もそうです」「それでは私が愉悦に浸るには足りないのです」と叫び、ガンマが「人間」ではなくなり、以前のように「どす黒い魔物」となるのを欲している。バルムンクは「私に最大の刺激と興奮を与えてくれた貴方に敬意を表してこうして二人きりで戦える舞台を用意したのだ」と語る。バルムンクは、ガンマによって先頭車両と切り離された車両を大地に埋めたようだ。(半分ほど地面に埋めて半分ほど浮かせている様子。)かつてのガンマは「人間」といえるような存在ではなかったと明かされていく。p100でバルムンクは自分のネクタイを蛇に変身させているが、ガンマはあっさりと蛇を斬殺している。
★p106
ガンマは「てめえの言う『ガンマ』ってやつはもう死んだんだ」と述べ、過去と決別したことを宣言する。
★p107
バルムンクは「言えるのですか?胸を張ってあの頃の『ガンマ』は死にましたと」「『彼女』の前で」と挑発する。『彼女』とはウルフィーナではなく、第二巻の最後のページに出ていたあの女性のことだと考えられる。
★p108~109
ガンマは覚醒し、あの頃の姿に戻り始めた。バルムンクは興奮を抑えながら呟く。「ほうら…やっぱり死んでない…」
★総評
タイトルは「黒い蝶の皮膚を剥いだ」という意味。黒い蝶というのは、ガンマを指す。excoriated というのは他動詞excoriateの過去分詞。
つまり、このタイトルはガンマの元々の姿を暴いていく行為を指している。