〇タイトル
track8 Search & Bangaway
第二巻 p7~27
〇分析
★p7
1コマ目の「ゴトン」は筆ペンとトーンで描かれている。ガンマの攻撃を受け、死にかけていくキャルダー。手には皺が見える。
★p8
扉絵。track4と同じデザイン。p7は上の部分(一段目と二段目。すなわち1~3コマ目)でキャルダーを、下の部分(三段目。すなわち4コマ目)でガンマたちを描いている。p8もp7と同じく、上のコマでキャルダーを、下のコマでガンマを描いている。このような工夫は読みやすさをよくするのに繋がるだろう。
★p9
1コマ目の「塞き止められていた命の流れがあふれつくした…それだけなんだが…」と2コマ目の「惨めなもんだな」の発言主は明示されていないが、文脈から判断しておそらくエルウッド。5コマ目のスミスの顔は、片目しか目が描かれていない。久保は次第に眼鏡キャラの目を描くときは、両目とも描かないか、両目とも描くようになっていった。
★p10
スミスはアジトに爆弾をしかけていた。track5でスミスが「やれやれ、間に合うかな」と不安そうにつぶやいていたのはそのため。5コマ目の背景のトーンは、第三巻収録の「刻魔師 麗」でも使われている。
★p11~13
キャルダーの姉かのように扱われていた女性が目を覚ますが、その女性が「拷問室の奥の鉄扉の中に、捕まっている人がいる。私の父もその中にいる」と話す。それを聞いたガンマは「こうなりゃ1人助けるのも100人助けるのも同じだ!こっちが爆発するまで全員助けてやる」と良い意味で投げやりになる。
★p14
拷問室の奥の鉄扉を手動で開くガンマ。ガンマが正義の味方と名乗り、捕らわれていた人たちを救うと宣言する。このシーンはコミカルに描かれている。
★p15
キャルダーの姉かのように扱われていた女性の名前がサンドラと判明する。サンドラが父と再会。前のページと違ってこのページはシリアスに描かれている。スミスの仕掛けた爆弾がいまにも大爆発しかけている。
★p16
ガンマは「全員 黒焔鎖につかまれ 一気に行くぜ」と言い、スミスに金庫室の位置を訊く。黒焔鎖には「そいつ」とルビが付いている。5コマ目のエルウッドの吹き出しに「大体 何をするか分かった」と手書きされていることから、エルウッドはガンマが何をしようとしているのか察したのだろう。
★p17
ガンマが技「火輪斬術空戦段!!」「五梢空雷炮(ごしょうくうらいほう)!!」を発動し、スミスらと共に地下室から金庫室へ移動する。金庫は金庫番ブラザーズという二人組が管理しているのが分かる。
★p18~21
p19をよくみると、指を切られたサンドラの片手には包帯のようなものが巻かれている。片手で金庫番ブラザーズの握った拳銃を握りつぶしたガンマは金庫番ブラザーズに「邪魔さえしなければ命は取らないからお前らもさっさと脱出しろ」と告げる。そして、刀で金庫を開ける。
★p22
ガンマらは死者の指輪をゲットする。track1(第一巻p11~12)にあるように、死者の指輪を全部で12個集めればゾンビパウダーが手に入る。ゾンビパウダーは第一巻p5で「死者を蘇らせ、生者を不死にする悪魔の秘薬」と説明されている。
★p23
金庫室に緊急警報が流れ、「たった今 何者かによって2階金庫が破壊されました。指輪の盗難を防ぐためこれより2階金庫室を強制爆破します」とアナウンスが入る。
★p23~25
ガンマは黒い火炎(黒焔鎖か)を生じさせ、鳥籠のように人々を包むことで全員の命を救った。
★p26
助かったことに安堵する人々。しかし、ガンマは直ちに安堵する人々から離れ、立ち去ろうとする。ガンマはサンドラにお礼を言われるが、そっぽを向いて逃げてしまう。
★p27
ガンマは「礼を言われるのは慣れていない」と語り、照れている。スミスは手に入った指輪にキスをしている。
★総評
Search & Bangawayはsearch and bang awayという意味。ルビは「サーチ・アンド・バンガウェイ」ではなく、「サーチ・アンド・バンナウェイ」と振ってある。和訳すると「探すことと大いに励むこと」という意味になる。
track3で、<アッシュ・ドウター(ash daughter)は「灰の小娘」という意味。この意味はtrack8を読むまで読者には分からない。>と述べたが、アッシュ・ドウターがシンデレラの異称だいうことを知らなけば、track8を読んでもピンと来ないだろう。シンデレラは深夜0時になると、魔法が解けて、本来の姿に戻ってしまう。キャルダーも、成長因子操作薬を使うことで本来の姿(老人)になるのを誤魔化していたが、ガンマに敗れ、本来の姿を晒すことになった。
このシーン(p8~9)は、シンデレラが深夜0時になって本来の姿に戻ってしまったことを踏まえているのだ。
このことが、キャルダーがリーダーを務める強盗団の名前の由来である。