2022年5月2日FB投稿記事より

 

皆様おはようございます。

風薫る五月になりましたね!

陰暦では皐月とも呼ばれ。節は仲夏にあたり、田に早苗を盛んに植えるので「早苗月」といったのが略されたものとか、「五月雨(さみだれ)月」を約したものといった語源説があります。

それでは今月の一句

折りし皮 ひとりで開く 柏餅  山口誓子作

(参考)柏餅は地域によって、下記の呼び方があります。

しばもち、かたらもち、いばらもち、おまき、だんご

、かからだご

さて今月の「御朱印・法華経二十八品の心」は法華経「安楽行品第十四」をご紹介致します。

法華経を弘める者の決意を説いたのが前の「勧持品」でありましたが、法華経の行者の心がけを説いたのが「安楽行品」であります。安楽行というと簡単に行える修行のように聞こえるのですが、決してそうではありません。安楽行とは、安らかな気持ちで楽(ねが)って修行し、教えを説いてゆくことです。楽(ねが)うということは自分の意志の力によることを意味します。「安楽行品」では、外部からの迫害に対してではなく、自分の内心の誘惑に負けない心がけを説かれているのです。

安楽行品の大意

八十万憶那由多(はちじゅうまんおくなゆた)の菩薩の大誓願に対し、文殊菩薩は妙法の付属への心構えをまとめる意味から、悪世にこの法華経を説くためには、どのような態度が必要なのかをお釈迦様に問いました。それに対しお釈迦様は四つの行法を示されました。

第一は、①強い意志を持ち、柔和善順(にゅうわぜんじゅう)にして正しくものを見、種々なる世俗に惑わされず、常に偏らない心に親近(しんごん)すること。

②そして、より閑(しず)かなる心に親近すること。

第二は、会話などで生じる言葉による軽慢(きょうまん)に充分注意し、大いなる教えを示すこと。

第三は、軽慢の心を懐かず、深心(じんしん)に恭敬(くぎょう)・礼拝(らいはい)すること。

第四は、このような精進を怠らず、接して行くと、必ず諸天が守護して下さること。それは、髻中(けいちゅう)の明珠(みょうじゅ)を与えるが如く、大変尊い事なのでのです。

いかに振舞うか~身安楽行(しんあんらくぎょう)

 1.〕身安楽行については、行処(ぎょうしょ)と親近処(しんごんしょ)の2つに分けて説かれています。

① 行処・・・自分の身の振舞いについての心得を説く。それは絶えず忍辱(にんにく)の心を保ち、柔和善順で卒暴(そつぼう)でなく、どんなことが起きても慌てることなく、思い上がることなく、物事を正しくわきまえ、軽率な作為を行わないことを行処といい、身の振舞い方の根本が説かれています。

② 親近処・・・親近というのは、何かを求めたり、利用したり、おもねる気持ちがあって、権力者や金持ちに近づくことを意味します。

第一には、国王・大臣・役所の長官などに近づいてはならない。

第二に、仏教以外の外道や、邪法(じゃほう)を説く者や、つまらぬ文筆をもてあそぶ者、人の言いなりになる人や何にでも人の意見に反対を唱える者に近づいてはならない。

第三に、つまらぬ勝負事や魔術師に近づいてそれに熱中してはならない。

第四に、生きものを殺す人に近づいて残忍性を助長してはならない。

第五に、自分だけの悟りを求める小乗の教えを奉じる比丘や比丘尼に近づき、その教えを聞いてはならない。

第六に、婦人に教えを説く時は、厳正な態度で教えを説かねばならない。

第七に、男性として適格を欠いた人になれ親しんではならない。

第八に、ひとりで他人の家に入ってはならない。もしどうしても行かなければならない時は、一心に仏を念じて、仏と二人で入ると思いなさい。

第九に、女性に説法する時は、なれなれしい笑顔で接してはならない。

第十に、稚児のような美少年をそばにおいてはならない。

 そして、さらに経文は、第二の親近処が説かれています。それは静かな場所で瞑想にふけり、心を整えることが大切であると。第一の親近処では、具体的に差別の世界について説かれたのに対し、第二の親近処では、一切の平等、空無(くうむ)の世界を説が説かれています。

言葉の戒め~口安楽行(くあんらくぎょう)

2.〕人の過ちや経典にけちをつけるようなことを説いてはならないと、さらに経文は、他人の善し悪し、長所、短所を言ってはいけないと、たとえ「法華経」の教えとは全く立場を異にする小乗の人に対しても、名指しで悪口を言ってはならないと、また、名指しで人を褒めたたえることも慎むべきであり。どんな人に対しても、好きだとか嫌いだとか言ってはなりません。

 このように大いなる慈愛(じあい)の心で接するならば、人の心も自然にわかり、相手の心に逆らわないよう温かな気持ちで答えることができる。これが口安楽行にほかならないのです。

心の持ち方~意安楽行(いあんらくぎょう)

3.〕心の持ち方を説いたのが、意安楽行です。まず「法華経」の教えを奉じる者は、嫉妬心をもってはいけません。自分よりすぐれた人に対して嫉(ねた)む気持ちを持つなということです。また、他人にへつらったり、勝手なこじつけをして自分の心を欺(あざむ)いてはなりません。また「あなたのやっていることは方向ちがいだ」とか、「あなたは怠け者だからとうていだめだ」などと、相手がやる気をなくすような事を言ってはなりません。

 次に議論のための議論をして言い争いをしてはなりません。それは不毛であるからです。さらに、「法華経」の行者は、あらゆる人々にたいして大悲(だいひ)の気持ちを起こさなければなりません。特に衆生の苦しみに同感し、その苦しみを救う気持ちをもつことが大切なのです。

 最後に、平等の心で教えを説けという。どんな人に対しても同情の心をもって正しい仏道に入れてあげたい、と思って教えを説きなさいと言うことなのです。

教えを弘める誓い~誓願安楽行(せいがんあんらくぎょう)

4.〕最後にお釈迦様は、文殊菩薩に対して誓願安楽行を説かれます。菩薩が末世の世の中で、まさしく仏法が滅ぼうとするとき、「法華経」を受持する者はどんな心がけを持てばよいか説かれています。

まず在家者にも出家者にも大慈(だいじ)の心を起させるとともに、さらに菩薩でない人にまでも大悲の心を起させることが必要であるのです。菩薩でない人とは、自分の悟り、自分の救いばかり考えている人なのです。自分だけがよければよいと考えて生きていても、決して満足できるものではありません。そのような人に教えを説き、ともに大乗の真実の道を信じるようにしようと決心すること、それが誓願ということなのです。

 末世においては仏の教えを信じる人はほとんどいない。そのようなときに仏の教えを弘めることは大変な苦労であるが、あえてそれを実行しようと決心するのが誓願安楽行であります。

この誓願安楽行を果たすには、まず第一に仏の不生不滅(ふしょうふめつ)を信じること、どんな時でも、どんな悪世においても、仏は自分と共にあるという確信が支えとなって、不退転の誓願行が可能となります。「法華経」を弘めるときにどんな迫害者が現れても、仏が説く人を護ってくれます。その理由を、経文には「この経はこれ一切の過去、未来、現在の諸仏の神力(じんりき)をもて護りたもう所なるが故に」と説かれているのです。

髻珠(けいしゅ)の喩え・・・

四つの安楽行を説かれたお釈迦様は、次いで「法華七喩(ほっけしちゆ)」の第六である「髻珠の喩え」によって「法華経」の教えがもっともすぐれた教えであることを説かれています。

 その喩えは、世界を統一する転輪聖王(てんりんじょうおう)が戦いにおける勇者に髻(もとどり)に秘蔵(ひぞう)する宝珠(ほうじゅ)を容易に与えず、最大の戦功者のみに与えるように、仏もまた一切衆生成仏の教たる法華経を容易に説かず、一切の煩悩を対治する真の勇者に説き与えるのであるという喩えです。

即ち仏が法華経を説いて、すべての権教(ごんきょう)を開会(かいえ)して一乗真実(いちじょうしんじつ)の教を顕し、二乗も必ず成仏するとの証明を与えたことに喩えられています。

今月の教えは・・・

         諸 天 昼 夜

         常 為 法 故

         而 衛 護 之

(諸天昼夜に 常に法の為の故に しかも之を衛護す)

法華経を信仰する人には昼夜を問わず諸天善神がご守護されると説かれています。

信行会にご参加され、信仰に励まれた皆様にも、諸天善神のご加護がありますように。

妙法蓮華経安楽行品品第十四抜粋

爾時文殊師利法王子。菩薩摩訶薩。白仏言

(訳)爾の時に文殊師利法王子菩薩摩訶薩、仏に白して言さく、

世尊。是諸菩薩。甚為難有。敬順仏故。発大誓願。於後悪世。

護持読誦。説是法華経。

(訳)世尊、是の諸の菩薩は甚だ為れ有り難し。仏に敬順したてまつるが故に大誓願を発す。後の悪世に於て是の法華経を護持し読誦し説かん。

世尊。菩薩摩訶薩。於後悪世。云何能説是経。

(訳)世尊、菩薩摩訶薩後の悪世に於て云何してか能く是の経を説かん。

若菩薩摩訶薩。於後悪世。欲説是経。当安住四法。

(訳)若し菩薩摩訶薩後の悪世に於て是の経を説かんと欲せば、当に四法に安住すべし。

一者安住菩薩行処。親近処。能為衆生。演説是経。

(訳)一には菩薩の行処・親近処に安住して、能く衆生の為に是の経を演説すべし。

又不親近求声聞。比丘。比丘尼。優婆塞。優婆夷。亦不問訊。若於房中。若経行処。若在講堂中。不共住止。或時来者。随宜説法。無所求。

(訳)又声聞を求むる比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷に親近せざれ、亦問訊せざれ。若しは房中に於ても、若しは経行の処、若しは講堂の中に在っても、共に住止せざれ。或時に来らば宜しきに随って法を説いて・求する所なかれ。

如実相。不顛倒。不動。不退。不転。如虚空。無所有性。一切語言道断。不生。不出。不起。無名。無相。実無所有。無量無辺。無碍無障。

(訳)如実相なり、顛倒せず、動せず、退せず、転せず、虚空の如くにして所有の性なし。一切の語言の道断え、生ぜず、出せず、起せず。名なく相なく、実に所有なし。無量・無辺・無碍・無障なり。

文殊師利 是名菩薩 安住初法 能於後世 説法華経

(訳)文殊師利 是れ菩薩の初の法に安住して 

能く後の世に於て 法華経を説くと名く

又文殊師利。如来滅後。於末法中。欲説是経。応住安楽行。

(訳)又文殊師利、如来の滅後に末法の中に於て是の経を説かんと欲せば、安楽行に住すべし。

若口宣説。若読経時。不楽説人。及経典過。

(訳)若しは口に宣説し若しは経を読まん時、楽って人及び経典の過を説かざれ。

亦不軽慢。諸余法師。

(訳)亦諸余の法師を軽慢せざれ。他人の好悪長短を説かざれ。

不説他人。好悪長短。於声聞人。亦不称名。説其過悪。亦不称名。讃歎其美。

(訳)声聞の人に於て亦名を称して其の過悪を説かざれ。亦名を称して其の美きを讃歎せざれ。

昼夜常説 無上道教

以諸因縁 無量譬喩 開示衆生 咸令歓喜

衣服臥具 飲食医薬 而於其中 無所望

但一心念 説法因縁 願成仏道 令衆亦爾

是則大利 安楽供養

(訳)昼夜常に 無上道の教を説け

  諸の因縁 無量の譬喩を以て

  衆生に開示して 咸く歓喜せしめよ

  衣服臥具 飲食医薬

  而も其の中に於て ・望する所なかれ

  但一心に 説法の因縁を念じ

  仏道を成じて 衆をして亦爾ならしめんと願うべし

  是れ則ち大利 安楽の供養なり

常柔和能忍 慈悲於一切 不生懈怠心

 (訳) 常に柔和にして能く忍び

   一切を慈悲して 懈怠の心を生ぜざれ

 十方大菩薩 愍衆故道行 応生恭敬心 是則我大師

 (訳)十方の大菩薩 衆を愍むが故に道を行ずるに

  恭敬の心を生ずべし 是れ則ち我が大師なりと

常為比丘。比丘尼。優婆塞。優婆夷。国王王子。大臣人民。婆羅門居士等。供養恭敬。尊重讃歎。虚空諸天。為聴法故。亦常随侍。若在聚落城邑。空閑林中。人来欲難問。【諸天昼夜。常為法故。而衛護之。】能令聴者。皆得歓喜。

(訳)常に比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷・国王・王子・大臣・人民・婆羅門・居士等に供養・恭敬・尊重・讃歎せらるることを為ん。虚空の諸天、法を聴かんが為の故に亦常に随侍せん。若し聚落・城邑・空閑・林中に在らんとき、人あり来って難問せんと欲せば、【諸天昼夜に常に法の為の故に而も之を衛護し、】能く聴者をして皆歓喜することを得せしめん。

於四衆中。為説諸経。令其心悦。賜以禅定。解脱。無漏。根力。諸法之財。又復賜与。涅槃之城。言得滅度。引導其心。令皆歓喜。

(訳)四衆の中に於て為に諸経を説いて其の心をして悦ばしめ、賜うに禅定・解脱・無漏根・力の諸法の財を以てし、又復涅槃の城を賜与して、滅度を得たりと言って其の心を引導して皆歓喜せしむ。

而不為説。是法華経。

(訳) 而も為に是の法華経を説かず。

此法華経。能令衆生。至一切智。一切世間。多怨難信。先所未説。而今説之。文殊師利。此法華経。是諸如来。第一之説。於諸説中。最為甚深。末後賜与。如彼強力之王。久護妙珠。今乃与之。文殊師利。此法華経。諸仏如来。秘密之蔵。於諸経中。最在其上。長夜守護。不妄宣説。始於今日。乃与汝等。而敷演之。

(訳)此の法華経の能く衆生をして一切智に至らしめ、一切世間に怨多くして信じ難く、先に未だ説かざる所なるを而も今之を説く。文殊師利、此の法華経は是れ諸の如来の第一の説、諸説の中に於て最も為れ甚深なり。末後に賜与すること、彼の強力の王の久しく護れる明珠を、今乃ち之を与うるが如し。文殊師利、此の法華経は諸仏如来の秘密の蔵なり。諸経の中に於て最も其の上にあり。長夜に守護して妄りに宣説せざるを、始めて今日に於て乃ち汝等がために而も之を敷演す。

常忍辱行 哀愍一切 乃能演説 仏所讃経

(訳)常に忍辱を行じ 一切を哀愍して

  乃ち能く 仏の讃めたもう所の経を演説す

 後末世時 持此経者 於家出家 及非菩薩

 応生慈悲

 (訳)後の末世の時に 此の経を持たん者は

  家と出家と 及び非菩薩とに於て

  慈悲を生ずべし 

我滅度後 求仏道者

欲得安穏 演説斯経 応当親近 如是四法

 (訳)我が滅度の後に 仏道を求めん者

  安穏にして 斯の経を演説することを得んと欲せば

  応当に 是の如き四法に親近すべし

読是経者 常無憂悩 又無病痛 顔色鮮白

 (訳)是の経を読まん者は 常に憂悩なく

  又病痛なく 顔色鮮白ならん

智慧光明 如日之照

 (訳)智慧の光明 日の照すが如くならん

深入禅定 見十方仏

 (訳)深く禅定に入って 十方の仏を見たてまつると見ん

諸仏身金色 百福相荘厳 聞法為人説 常有是好夢

又夢作国王 捨宮殿眷属 及上妙五欲 行詣於道場

在菩提樹下 而処師子座 求道過七日 得諸仏之智

成無上道已 起而転法輪 為四衆説法 経千万億劫

説無漏妙法 度無量衆生 後当入涅槃 如煙尽燈滅

若後悪世中 説是第一法 是人得大利 如上諸功徳

(訳)諸仏の身金色にして 百福の相荘厳したもう

  法を聞いて人の為に説く 常に是の好き夢あらん

  又夢むらく国王と作って 宮殿眷属

  及び上妙の五欲を捨てて 道場に行詣し

  菩提樹下にあって 師子座に処し

  道を求むること七日過ぎて 諸仏の智を得

  無上道を成じ已り 起って法輪を転じ

  四衆の為に法と説くこと 千万億劫を経

  無漏の妙法を説き 無量の衆生を度して

  後に当に涅槃を入ること 煙尽きて燈の滅ゆるが如し

  若し後の悪世の中に 是の第一の法を説かば

  是の人大利を得んこと 上の諸の功徳の如くならん

本日も長文を最後までお読み誠にありがとうございます。

感謝 合掌🙏南無妙法蓮華

写真の説明はありません。