2022年4月2日FB投稿記事より

 

肌寒い日が続いておりますが、皆様如何お過ごしでしょうか?今年も桜花のシーズンに、四月とは卯月と呼ばれ、語源は卯の花が咲くが省略されてとの定説があります。卯の花とは、アジサイの低木ウツギのこと、日本の歌「夏は来ぬ」にも登場しますね❣

それでは今月の一句

『咲き満ちてこぼるゝ花もなかりけり』 高浜虚子作

意味:桜が咲いている時期はほんの数日です。その中でも、桜が満開になっているのに時が止まったように花びらが落ちてこないときがあります。花びらがいっせいに落ちる前の一瞬の静寂が見事に表現された句です。

さて今月の「御朱印・法華経二十八品の心」は法華経「勧持品第十三」をご紹介致します。

勧持品では「法華経」の教えを信じる人々が、どんなに迫害を受けても屈することなく、この教えを弘める覚悟が説かれています。勧持という事は「法華経を受持することを勧める」という意味であり。正しい教えを弘める者は多くの難にあうという経文は、なにより日蓮聖人に勇気を与え、その受難のご生涯を支え続けたのできたのです。

勧持品の大意

提婆達多品で付属への心構えの暗示を受けて、会衆がさらに妙法の付属を懇願する中で、お釈迦様は、養母の摩訶波闍波堤比丘尼(まかはじゃはだいびくに)、羅睺羅(らごら)の母である耶輸陀羅比丘尼(やしゅだらびくに)へ、一切衆生喜見仏(いっさいしゅじょうきけんぶつ)・具足千万光相仏(ぐそくせんまんこうそうぶつ)として授記された。その時、八十万憶那由多(なゆた)の菩薩は、付属の誓言あらば、仏の滅後、悪口罵詈(あっくめり)・刀杖(とうじょう)を加えられても、忍んでこの経を説くことを誓った。

最初の比丘尼への授記

薬王菩薩と大楽説菩薩が誓言を述べると、その場にいた五百人の阿羅漢たちが名乗をあげました。さらにまた学無学の八千人が立ち上がり、他の国土において人々のために法華経を説くことを誓うのであるが、お釈迦様はそうした菩薩たちの申し出に応えることなく、二人の比丘尼への授記がなされた。叔母の摩訶波闍波堤比丘尼に対しては一切衆生喜見如来、そして羅睺羅の母である耶輸陀羅比丘尼へは具足千万光相如来と成るであろうと。二人が女人として最初の授記を受けたことは、一緒に出家した他の女性たちに大きな希望を与えたのです。

三類の強敵(ごうてき)とは

勧持品の二十行の偈文において、末法の世に法華経を弘めるものに迫害を加える増上慢(ぞうじょうまん)のことが説かれています。

1、 俗衆(ぞくしゅう)増上慢

法華経以外の諸経を信じて、法華経を弘めようとする人たちを悪口罵詈(あっくめり)し、刀杖(とうじょう)を加える在俗の人たちの事

2、 道門(どうもん)増上慢

出家者でありながら、よこしまな知恵をもち、媚びへつらう心を持ち、いまだ悟りを得てもいないのに、悟りを得たと思い込んでいる人たちの事

3、 僭聖(せんしょう)増上慢

阿練若(あれんにゃ)と呼ばれる山林などの静かなところに住み、常に糞掃衣(ふんぞうえ)というぼろ布を縫い合わせた衣を身にまとい、いかにも持戒堅固の聖者のような姿で世間の尊敬を集めているが、その内心では名利にとらわれ、しかも他人を軽蔑している見せかけだけの偽善者の事。  

これらはいずれも法華経の行者に対して迫害を加えることから「三類の強敵」と呼ばれています。

忍辱(にんにく)の鎧(よろい)とは

「我等仏を敬うが故に、悉くこの諸悪を忍ばん。これに軽しめて汝等は、皆これ仏なりと言われん。かくの如き軽慢の言を、皆まさに忍んで之を受くべし。濁劫悪世(じょっこうあくせ)の中には、多く諸々の恐怖あらん。悪鬼その身に入って、我を罵詈毀辱(めりきにく)せん。我等仏を敬信(きょうしん)して、当に忍辱の鎧をきるべし」

不惜身命(ふしゃくしんみょう)とは

日蓮聖人が佐渡の配所に出発するにあたって法華経の行者としてのお言葉が「佐渡御勘気抄」というお手紙にあります。

「本より学文し候し事は仏教をきはめて仏になり、恩ある人をもたすけんと思ふ。仏になる道は、必ず身命をすつるほどの事ありてこそ仏にはなり候らめと、をしはからる。既に経文のごとく、悪口罵詈(あっくめり)、刀杖瓦礫(とうじょうがりゃく)、数数見擯出(さくさくけんひんずい)と説れて、かゝるめに値候こそ法華経をよむにて候らめと、いよいよ信心もおこり、後生もたのもしく候。死して候はば、必ず各各をもたすけたてまつるべし」

   今月の教えは・・・

       於 善 国 中

       當 得 作 仏

(善国の中において まさに作佛することを得るべし)

勧持品の中においても仏様は、女性に成仏の約束をされます。

それはかって出家する前に結婚していた自分の妃、耶輪陀羅。そして自分を育て下さった継母の摩訶波闍波提です。来世には善い国に生まれ変わり仏になると優しく説かれてあす。

当たり前のことを当たり前に説かれている法華経。ありがたいですね。🙏

妙法蓮華経勧持品第十三抜粋

爾時薬王菩薩摩訶薩。及大楽説。菩薩摩訶薩。与二万菩薩眷属倶。皆於仏前。作是誓言。唯願世尊。不以為慮。我等於仏滅後。当奉持読誦。説此経典。後悪世衆生。善根転少。多増上慢。貧利供養。増不善根。遠離解脱。雖難教化。我等当起。大忍力。読誦此経。持説書写。種種供養。不惜身命。

(訳)爾の時に薬王菩薩摩訶薩及び大楽説菩薩摩訶薩、

 二万の菩薩眷属と倶に、皆仏前に於て是の誓言を作さく、

 唯願わくは世尊、以て慮いしたもうべからず。我等仏の滅後に於て当に此の経典を奉持し読誦し説きたてまつるべし。後の悪世の衆生は善根転た少くして増上慢多く、利供養を貧り、不善根を増し、解脱を遠離せん。教化すべきこと難しと雖も、我等当に大忍力を起して、此の経を読誦し持説し書写し、種々に供養して身命を惜まざるべし。

爾時仏姨母。摩訶波闍波提比丘尼。与学無学比丘尼。六千人倶。従座而起。一心合掌。瞻仰尊顔。目不暫捨。

(訳) 爾の時に仏の姨母摩訶波闍波提比丘尼、学無学の比丘尼六千人と倶に、座より而も起って一心に合掌し、尊顔を瞻仰して目暫くも捨てず。

仏告耶輸陀羅。汝於来世。百千万億諸仏法中。修菩薩行。為大法師。漸具仏道。【於善国中。当得作仏。】号具足千万光相如来。応供。正知。明行足。善逝。世間解。無上士。調御丈夫。天人師。仏。世尊。仏寿無量阿僧祇劫。

(訳)仏、耶輸陀羅に告げたまわく、汝来世百千万億の諸仏の法の中に於て、菩薩の行を修し大法師と為り漸く仏道を具して、【善国の中に於て当に作仏することを得べし。】具足千万光相如来・応供・正遍知・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊と号けん。仏の寿無量阿僧祇劫ならん。

爾時摩訶波闍波提比丘尼。及耶輸陀羅比丘尼。竝其眷属。皆大歓喜。得未曾有。即於仏前。而説偈言

世尊導師 安穏天人 我等記聞 心安具足

(訳)爾の時に摩訶波闍波提比丘尼及び耶輸陀羅比丘尼竝に其の眷属、皆大に歓喜し未曾有なることを得、即ち仏前に於て偈を説いて言さく、

  世尊導師 天人を安穏ならしめたもう

  我等記を聞いて 心安く具足しぬ

諸比丘尼。説是偈已。白仏言。世尊。我等亦能。於他方国土。広宣此経。

(訳) 諸の比丘尼是の偈を説き已って、仏に白して言さく、世尊、我等亦能く他方の国土に於て、広く此の経を宣べん。

是諸菩薩。皆是阿惟越致。転不退法輪。得諸陀羅尼。即従座起。至於仏前。一心合掌。而作是念。若世尊。告勅我等。持説此経。当如仏教。広宣斯法。

(訳) 是の諸の菩薩は皆是れ阿惟越致にして、不退の法輪を転じ、諸の陀羅尼を得たり。即ち座より起って仏前に至り一心に合掌して、是の念を作さく、若し世尊、我等に此の経を持説せよと告勅したまわば、当に仏の教の如く広く斯の法を宣ぶべし。

便於仏前。作獅子吼。而発誓言。世尊。我等。於如来滅後。周旋往返。十方世界。能令衆生。書写此経。受持読誦。解説其義。如法修行。正憶念。皆是仏之威力。唯願世尊。在於他方。遥見守護。

(訳)便ち仏前に於いて師子吼を作して、誓言を発さく、世尊、我等如来の滅後に於て、十方世界に周旋往返して、能く衆生をして此の経を書写し、受持し読誦し、其の義を解説し、法の如く修行し、正憶念せしめん、皆是れ仏の威力ならん。唯願わくは世尊、他方に在すとも遥かに守護せられよ。

即時諸菩薩。倶発同声。而説偈言

(訳)即時に諸の菩薩倶に同じく声を発して、偈を説いて言さく。

唯願不為慮 於仏滅度後 恐怖悪世中 我等当広説

(訳)  唯願わくは慮いしたもうべからず 仏の滅度の後

  恐怖悪世の中に於て 我等当に広く説くべし

有諸無知人 悪口罵詈等 及加刀杖者 我等皆当忍

(訳)  諸の無智の人 悪口罵詈等し

  及び刀杖を加うる者あらん 我等皆当に忍ぶべし

悪世中比丘 邪智心諂曲 未得謂為得 我慢心充満

 (訳) 悪世の中の比丘は 邪智にして心諂曲に

  未だ得ざるを為れ得たりと謂い 我慢の心充満せん

或有阿練若 納衣在空閑 自謂行真道 軽賎人間者

 貧著利養故 与白衣説法 為世所恭敬 如六通羅漢

 是人懐悪心 常念世俗事 仮名阿練若 好出我等過

 而作如是言 此諸比丘等 為貧利養故 説外道論議

 自作此経典 誑惑世間人 為求名聞故 分別説是経

 常在大衆中 欲毀我等故 向国王大臣 婆羅門居士

 及余比丘衆 誹謗説我悪 謂是邪見人 説外道論議

(訳)或は阿練若に 納衣にして空閑に在って

  自ら真の道を行ずと謂うて 人間を軽賎する者あらん

  利養に貧著するが故に 白衣のために法を説いて

  世に恭敬せらるること 六通の羅漢の如くならん

  是の人悪心を懐き 常に世俗の事を念い

  名を阿練若に仮つて 好んで我等が過を出さん

  而も是の如き言を作さん 此の諸の比丘等は

  利養を貧るを為ての故に 外道の論議を説く

  自ら此の経典を作って 世間の人を誑惑す

  名聞を求むるを為ての故に 分別して是の経を説くと

  常に大衆の中に在って 我等を毀らんと欲するが故に

  国王大臣 婆羅門居士

  及び余の比丘衆に向って 誹謗して我が悪を説いて

  是れ邪見の人 外道の論議を説くと謂わん

我等敬仏故 悉忍是諸悪 謂斯所軽言 汝等皆是仏

 如此軽慢言 皆当忍受之 濁劫悪世中 多有諸恐怖

 悪鬼入其身 罵詈毀辱我 我等敬信仏 当著忍辱鎧

 為説是経故 忍此諸難事 我不愛身命 但惜無上道

 我等於来世 護持仏所嘱 世尊自当知 濁世悪比丘

 不知仏方便 随宜所説法 悪口而顰蹙 数数見擯出

 遠離於塔寺 如是等衆悪 念仏告勅故 皆当忍是事

(訳) 我等仏を敬うが故に 悉く是の諸悪を忍ばん

  斯れに軽しめて 汝等は皆是れ仏なりと謂われん

  此の如き軽慢の言を 皆当に忍んで之を受くべし

  濁劫悪世の中には 多くの諸の恐怖あらん

  悪鬼其の身に入って 我を罵詈毀辱せん

  我等仏を敬信して 当に忍辱の鎧を著るべし

  是の経を説かんが為の故に 此の諸の難事を忍ばん

  我身命を愛せず 但無上道を惜む

  我等来世に於て 仏の所嘱を護持せん

  世尊自ら当に知しめすべし 濁世の悪比丘は

  仏の方便 随宜所説の法を知らず

  悪口して・蹙し 数数擯出せられ

  塔寺を遠離せん 是の如き等の衆悪をも

  仏の告勅を念うが故に 皆当に是の事を忍べし

 諸聚落城邑 其有求法者 我皆到其所 説仏所嘱法

  (訳)諸の聚落城邑に 其れ法を求むる者あらば

  我皆其の所に到って 仏の所嘱の法を説かん

我是世尊使 処衆無所畏 我当善説法 願仏安穏住

  (訳)我は是れ世尊の使なり 衆に処するに畏るる所なし

  我当に善く法を説くべし 願わくは仏安穏に住したまえ

我於世尊前 諸来十方仏 発如是誓言 仏自知我心

  (訳)我世尊の前 諸の来りたまえる十方の仏に於て

  是の如き誓言を発す 仏自ら我が心を知しめせ

本日も長文を最後までお読みいただきありがとうございます。

感謝 合掌🙏

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