2021年11月1日FB投稿記事より

 

本日から十一月に入りましたね!

十一月は霜月(しもつき)と言い、

霜が降り始める頃という意味があり、暦の上で冬の始まりとされる二十四節気の「立冬」を過ぎると、暖かな小春日和と寒い日を繰り返しながら、寒さが深まります。冷たい風に落ち葉が舞い、虫や動物たちが冬眠に入るのもこの頃。冬の訪れを感じさせる月でもあります。

別名では雪待月(ゆきまちづき)、霜見月(しもみづき)、冬半(とうはん)、神帰月(かみかえりづき)とも言われています。

それでは今月の俳句を

「御火焚や 霜うつくしき 京の町」 与謝蕪村 作

御火焚(おひたき)とは、江戸時代から京都を中心として行われてきた神事をいいます。

さて今月の「御朱印・法華経二十八品の心」は法華経【五百弟子受記品第八】をご紹介いたします。

前の化城喩品(けじょうゆほん)第七で、お釈迦様の教化が今生一世のものでなく、三千塵点劫の過去から続くものであったことを聞かされた富楼那尊者(ふるな)*①は自らを顧みながらそのことを領解(りょうげ)しました。

五百弟子受記品第八の大意

お釈迦様は富楼那の説法教化を述成(じゅつじょう)し、富楼那に法明如来(ほうみょうにょらい)の記別をされました。次いでそれを聞いていた千二百の阿羅漢(あらかん)に成仏の授記(じゅき)が予定され、その中でも憍陳如(きょうじんにょ)は普明如来(ふみょうにょらい)となり、優楼頻螺迦葉(うるびんらかしょう)等の五百の阿羅漢も皆同じ名号の普明如来となることを授記されたのです。

 これまでは仏弟子たちの領解の後に授記であったが、ここでは五百の阿羅漢が授記されたのち、領解をしたのです。つまり自分たちの無智を悔いて、自分たちが初めてわかった真理をたとえ話で説明しました。それが法華七喩の一つである衣裏宝珠(えりほうじゅ)の喩えである。

衣裏宝珠(えりほうじゅ)の喩えとは・・・

ある人が親友の家で酒に酔って寝てしまった。友人はその時、急用で国を離れなければならぬことになったので、寝ている人の着衣の裏に宝珠を縫い付け、これをもって生活を築くように託した。その人は全くそのことに気付かず、目をさますとまた流浪の生活を送ったのである。働いてわずかの報酬を得れば、それに満足し、困窮の日々を過ごしていた。その後、たまたま親友に会ったのである。親友は宝珠を送ったことを告げると、その人はいたずらに辛苦していたことをはじめて知ったのである。親友とは先の化城喩品で説かれた第十六番目の王子を指し、酒に酔うて臥せりとは、お釈迦様の前身である第十六王子が法華経を覆講(ふくこう)するのを聞いて、内心に少しだけ理解することが出来たものの、無明のために迷失してしまったことなのです。🙏

仏様によって仏の道を教えられながら、それに気付かなかった人々、それが自らだったことを喩えてよろこびの領解としたのである。

 「衣裏繋珠の喩え」に出てくる宝珠とはわれわれの仏性のことです。人間はすべて仏性をもっているというのは、大乗仏教の根本の考えであり、人間がもっている仏性という宝珠をすでにもっていることが、酔って眠っていなければ誰にでも気が付くはずでなのです。しかし酔っていては、珠をもらっても気が付かない。それと同じように、われわれの心の中にはすばらしい宝があるにもかかわらず、目が曇っているためにそれが見えない。そのため一生を空しく過ごしてしまうことなのです。 そのことに気付くことが悟りであり、お釈迦様の覚醒なのです。🙏

*① 富楼那尊者(ふるな)

 富楼那とは父はカピラ城主である浄飯王(釈迦の実父)の国師で、母は釈迦の最初の弟子衆である五比丘の一人である僑陳如(カウンダンニャ)の妹とも伝えられ、母の名は弥多羅尼(みたらに)、その子であるから富楼那弥多羅尼子(ふるなみたらにし)という。彼の実家は巨万の富を有していたといわれる。ある時仕事仲間からお釈迦様のことを知り、自ら赴いて弟子となった。釈尊の十大弟子のひとりで説法第一と称せられた。

今月の教えは・・・

       以 無 価 宝 珠

       繋 著 内 衣 裏

 (無加の宝珠をもって 汝が衣の裏にかけぬ)

私達は日々の衣食ばかりに気を取られ少しばかりの物を得て満足してしまいますが、実は「仏性」という無限の可能性を秘めている宝珠を持っています。それは仏になるという幸せの境地でもあります。

その宝を、あなたの一番身近な服に縫い付けておいたよと仏さまは説かれています。

皆様もそれに気付くことが出来ますように♪

 

妙法蓮華経五百弟子受記品第八 抜粋

爾時富楼那弥多羅尼子。従仏聞是。智慧方便。随宜説法。又聞授諸大弟子。阿耨多羅三藐三菩提記。復聞宿世。因縁之事。復聞諸仏。有大自在。神通之力。

得未曾有。心浄踊躍。即従座起。到於仏前。頭面礼足。却住一面。瞻仰尊顔。

目不暫捨。而作是念。世尊甚奇特。所為希有。随順世間。若干種性。以方便知見。而為説法。抜出衆生。処処貧著。我等於仏功徳。言不能宣。唯仏世尊。能知我等。深心本願。

(訳)爾の時に富楼那弥多羅尼子、仏に従いたてまつりて是の智慧方便随宜の説法を聞き、又諸の大弟子に阿耨多羅三藐三菩提の記を授けたもうを聞き、復宿世因縁の事を聞き、復諸仏の大自在神通の力ましますことを聞きたてまつりて未曾有なることを得、心浄く踊躍し、即ち座より起って仏前に到り、頭面に足を礼し却って一面に住し、尊顔を瞻仰して目暫くも捨てず。而も是の念を作さく、

 世尊は甚だ奇特にして所為希有なり。世間若干の種性に随順し

方便知見を以て為に法を説いて、衆生処処の貧著を抜出したもう。我等仏の功徳に於て、言をもって宣ぶること能わず。唯仏世尊のみ能く我等が深心の本願を知しめせり。

爾時仏告。諸比丘。汝等見是。富楼那弥多羅尼子不。我常称其。於説法人中。最為第一。亦常歎其。種種功徳。精勤護持。助宣我法。能於四衆。示教利喜。具足解釈。仏之正法。而大饒益。同梵行者。自捨如来。無能尽其。言論之弁。

爾の時に仏、諸の比丘に告げたまわく、

(訳)汝等是の富楼那弥多羅尼子を見るや不や。我常に其の説法人の中に於て最も第一たりと称し、亦常に其の種々の功徳を歎ず。精勤して我が法を護持し助宣し、能く四衆に於て示教利喜し、具足して仏の正法を解釈して、大に同梵行者を饒益す。如来を捨いてよりは、能く其の言論の弁を尽くすものなけん。

漸漸具足。菩薩之道。過無量。阿僧祇劫。

(訳)漸漸に菩薩の道を具足して、無量阿僧祇劫を過ぎて、

当於此土。得阿耨多羅三藐三菩提。号曰法明如来。応供。正知。明行足。善逝。世間解。無上士。調御丈夫。天人師。仏。世尊。

(訳)当に此の土に於て阿耨多羅三藐三菩提を得べし。号を法明如来・応供・正遍知・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊といわん。

供養諸如来 護持法宝蔵

(訳)諸の如来を供養し 法の宝蔵を護持して

其後得成仏 号名曰法明

(訳)其の後に成仏することを得ん 号を名けて法明といわん

其国名善浄 七宝所合成 劫名為宝明

(訳)其の国を善浄と名け 七宝の合成せる所ならん

於後親友。会遇見之。而作是言。咄哉丈夫。何為衣食。

乃至如是。我昔欲令。汝得安楽。五欲自恣。於某年月日。

【以無価宝珠。繋汝衣裏。】今故現在。而汝不知。勤苦憂悩。以求自活。甚為痴也。汝今可以此宝。貿易所須。常可如意。無所乏短。

(訳)後に親友会い遇うて之を見て、是の言を作さく、咄哉丈夫、何ぞ衣食の為に乃ち是の如くなるに至る。我昔汝をして安楽なることを得、五欲に自ら恣ならしめんと欲して、某の年月日に於て【無価の宝珠を以て汝が衣の裏に繋けぬ。】今故お現にあり。而るを汝知らずして、勤苦憂悩して以て自活を求むること、甚だこれ痴なり。汝今此の宝を以て所須に貿易すべし。常に意の如く乏短なる所なかるべしといわんが如く、

於無量仏宝 得少涅槃分

如無智愚人 便自以為足

 (訳)無量の仏宝に於て 少しき涅槃の分を得

  無智の愚人の如くして 便ち自ら以て足りぬと為しき

譬如貧窮人 往至親友家

其家甚大富 具設諸肴膳 以無価宝珠 繋著内衣裏

黙与而捨去 時臥不覚知 是人既已起 遊行詣他国

求衣食自済 資生甚艱難 得少便為足 更不願好者

不覚内衣裏 有無価宝珠 与珠之親友 後見此貧人

苦切責之已 示以所繋珠 貧人見此珠 其心大歓喜

富有諸財物 五欲而自恣

(訳)譬えば貧窮の人 親友の家に往き至りぬ

  其の家甚だ大に富んで 具に諸の肴膳を設け

  無価の宝珠を以て 内衣の裏に繋著し

  黙し与えて捨て去りぬ 時に臥して覚知せず

  是の人既已に起きて 遊行して他国に詣り

  衣食を求めて自ら済り 資生甚だ艱難にして

  少しきを得て便ち足りぬとなして 更に好き者を願わず

  内衣の裏に 無価の宝珠あることを覚らず

  珠を与えし親友 後に此の貧人を見て

  苦切に之を責め已って 示すに繋けし所の珠を以てす

  貧人此の珠を見て 其の心大に歓喜し

  富んで諸の財物あって 五欲に而も自ら恣ならんが如く

我等亦如是 世尊於長夜

常愍見教化 令種無上願 我等無智故 不覚亦不知

少得涅槃分 自足不求余 今仏覚悟我 言非実滅度

得仏無上慧 爾乃為真滅 我今従仏聞 授記荘厳事

及転次受決 身心歓喜

 (訳)我等も亦是の如し 世尊長夜に於て

  常に愍んで教化せられ 無上の願を種えしめたまえり

  我等無智なるが故に 覚らず亦知らず

  少しき涅槃の分を得て 自ら足りぬとして余を求めず

  今仏我を覚悟して 実の滅度に非ず

  仏の無上慧を得て 爾して乃ち為れ真の滅なりと言う

  我今仏に従って 授記荘厳の事及び転次に

  受決せんことを聞きたてまつりて身心遍く歓喜す

本日も長文を最後までお読みいただきありがとうございます。

感謝 合掌🙏南無妙法蓮華経

写真の説明はありません。

すべてのリアクション:

138Akemi Ishikawa、浅間純子、他136名