2021年1月1日投稿記事より

 

皆様 明けましておめでとうございます。

健やかに新しい年をお迎えになったかと思います。

今日から丑年の一月に入りまいたね!

一月は睦月と呼ばれ 有力な説では親族一同集って宴をする「睦び月(むつびつき)」の意があるそうです。今年は集まる事も難しいそうですね!

新年の俳句から一句

去年(こぞ)今年 貫く棒の 如きもの  高浜虚子作

(古い年が去り、新しい年が始まると、去った年が遠い昔のように感じられコトがあります。しかし実際は、時間はお正月のお祝いとは関係なく静かに過ぎていくだけであり、一本の棒で貫かれた一続きの時間なのです。

今年最初の投稿は、「歩かにゃわからぬ祈りの霊場」(身延山法華経二十八品経石めぐり)です。日蓮聖人御降誕八百年の今年二月十六日を目標としてご紹介してまいりました記事も今回を入れて後三回となり、毎月一度の投稿が早や二年四か月に及ぶことになります。お読みいただいております皆様、記事を提供して頂きました筆者様、みのぶ誌の皆様方に深く感謝致します。

感謝 合掌🙏 南無妙法蓮華経

今回は第二十六回、身延山の松樹庵にあります。「陀羅尼品(だらにほん)第二十六」をご紹介致します。

経石に刻まれている言葉は・・・

「我れまた陀羅尼神咒(だらにじんしゅ)を以て法華経を持たん者を擁護(おうご)せん」   

意味として

菩薩や諸天善神は「陀羅尼の不思議な呪句によって、法華経を受持する者を守護いたしましょう」とお釈迦様は誓った。

千本杉を後にして下り坂を進み、秋には紅葉する赤と銀杏の黄色が美しく、時折ニホンカモシカが見られる道程です。暫くして、眼下に身延山久遠寺の諸堂や門前町が見えてくるお堂に着きます。ここは日蓮聖人袈裟掛けの霊場として有名な松樹庵(しょうじゅあん)です。正面方向には鷹取山が見え、平成二十六年に県の天然記念物に指定された、ひときは大きな六老杉を見る事が出来ます。この松樹庵は、日蓮聖人が奥之院への道すがら、当地にあった松の木に御袈裟を掛け、休息された場所と伝えられ、宗信日浄師により宝永年間に開創されたと伝わっています。

松の木の傍らに「陀羅尼品第二十六」の「我れまた陀羅尼神咒を以て法華経を持たん者を擁護せん」 経石があります、どの様な意味なのでしょうか?

陀羅尼とはサンスクリット語のダーラニーのことで、一語の中に無量の徳を備え、治病・護法・滅罪・降伏の力をもつ呪文のことです。

又、善き法をたもって忘れず悪法を起こさしめない能力を言います。この品では、薬王菩薩がまず合掌して「法華経を受持し読誦し、その意味を理解し、書写する者はどのような功徳を得る事が出来るか」とお釈迦様にお聞きします。お釈迦様は「もし、この法華経のたとえ一句でも一偈でも受持し、読誦し、その意味を理解し、教えのとおりに修行するならば、その功徳は大変大きいのです」と答えられました。続いて薬王菩薩、勇施菩薩、毘沙門天王、持国天王、十羅刹女と鬼子母神が、法華経の教えを信じる人を守護する為の、陀羅尼神咒を唱えましょうとお釈迦様に誓った事が書かれています。

「安爾/曼爾/摩禰/摩摩禰・・・」から始まる呪文のようなお経が、この陀羅尼品に説かれている神咒の部分で、これを集めたものを「五番神咒」といいます。

木鉦で中拍子、本拍子という早くて心地良いリズムに合わせて神呪が唱えられるのを、皆様もお聞きになったことがあると思います。御祈祷を受ける時に、お上人様が木剣を振り、五番神咒を唱え、頭や背中に御経巻お当てて下さると本当に有難い気持ちなります。経中では、持国天王が自分を取り囲む者たちと共に仏様の前に進み出て「私もまた陀羅尼をもって法華経を持つ者を護ります」と述べ神咒を説きました。「阿伽禰/伽禰~浮楼莎柅 /頞底」までの九句が持国天王の神呪です。

運命とは、どう変わっていくか分かりません。筆者様も階段から落ちて不自由な入院生活を余儀なくされ、それにより今なら、働きたいけれど働けず、落ち込む人の心も良く理解でき、怪我の経過報告と今後の事を職場に行くと、当然ながら、私の仕事を同僚が代わって補ってくれており、私の休職前と変らない職場の日常があり、怪我が治れば復帰したいとの思いもありましたが、介護の仕事は腰には負担がかかる為、上司の助言にもより、職場をさる決意をされたそうです。

退職の決意されたのは、以前「はじめての法華経」のCDで聴かれた「維摩居士の教え」を思い出され、その内容は維摩居士が説法の場に遅れ、いつも自分が座る場所に、始めて来た人が座っている光景を見て、説法の後でお釈迦様は維摩居士に「あなたはその席を見ましたね!それを執着と言うのです。座を分ける事が大切なことですよ!」と諭されたお話し、又、この陀羅尼品に触れて「無生法忍の無生法とは、生もなく滅もなく、それらを超越した涅槃の境地に至る事。忍とは、様々な条件の中で、それらを受け入れて、人と付き合う事が出来ること」と言うお話もありました。

この教えを自分に照らし合わせた時、現職に再び身を置く事は、自分にとっては都合が良い反面、執着なのかも知れないと思われ、又、自分入院中、自分の仕事を補ってくれた同僚への感謝と更に成長して欲しいとの想い、自分自身ももう一度再出発のつもりで前を向いて生きて行こうと思われました。

それから、今の職場に至るまでに、お釈迦様の教えを自分の身に体することと、陀羅尼品の最後に説かれた「無生法忍」の心持を教えて頂けたのだと確信され、今後とも、お釈迦様の教えを学び、お題目信仰によって生かされ、護られる人生でる事を信じ精進されています。

感謝 合掌 南無妙法蓮華経

(みのぶ誌2016年5月号より引用致しました。)

(参考資料)

妙法蓮華経 陀羅尼品 第二十六(原文)

安 爾 曼 爾 摩 禰 摩 摩 禰 旨 隷 遮 梨 第 賖 咩 賖 履 多 瑋

羶 帝 目 帝 目 多 履 沙 履 阿 瑋 沙 履 桑 履 沙 履 叉 裔

阿 叉 裔 阿 耆 膩 羶 帝 賖 履 陀 羅 尼 阿 盧 伽 婆 娑 簸 蔗 毘 叉 膩

禰 毘 剃 阿 便 哆 邏 禰 履 剃 阿 亶 哆 波 隷 輸 地 漚 究 隷 牟 究 隷 阿 羅 隷 波 羅 隷 首 迦 差 阿 三 磨 三 履 佛 駄 毘 吉 利 袟 帝

達 磨 波 利 差 帝 僧 伽 涅 瞿 沙 禰 婆 舎 婆 舎 輸 地 曼 哆 邏

曼 哆 邏 叉 夜 多 郵 楼 哆 郵 楼 哆 憍 舎 略 悪 叉 邏 悪 叉 冶 多 冶

阿 婆 盧 阿 摩 若 那 多 夜 痤 隷 摩 訶 痤 隷 郁 枳 目 枳 阿 隷 阿 羅 婆 第 涅 隷 第 涅 隷 多 婆 第 伊 緻 柅 韋 緻 柅 旨 緻 柅 涅 隷 墀 柅 涅 犁 墀 婆 底 阿 梨 那 梨 小/兎 那 梨 阿 那 盧 那 履 拘 那 履 阿 伽 禰 伽 禰 瞿 利 乾 陀 利 旃 陀 利 摩 蹬 耆 常 求 利

浮 楼 莎 柅 頞 底 伊 提 履 伊 提 泯 伊 提 履 阿 提 履 伊 提 履

泥 履 泥 履 泥 履 泥 履 泥 履 楼 醯 楼 醯 楼 醯 楼 醯

多 醯 多 醯 多 醯 兜 醯 兜 醯

得無生法忍

法華経を弘めるにあたって必ずや遭遇するであろうさまざまな迫害や災難を、二人の菩薩

(薬王菩薩・勇施(ゆうぜ)菩薩)・と二人の天王(毘沙門天王・持国天王)と十人の羅刹(十羅刹女・鬼子母神)が秘密神呪(ひみつじんじゅ)をもって守護するということを表明したのが、この陀羅尼品である

陀羅尼の四つ力とは・・・

1、病を直す力 

2、法を護る力 

3、罪を滅す力 

4、悟りを得る力

このように、陀羅尼には病気を治す力、正法を守護する力、人間がつくるさまざまな罪を滅してくれる力、最後に悟りを得させてくれる力があるのです。

本日も長文を最後までお読みいただきありがとうございました。

皆様方にとりましてよき新しい年は善き年であります様にと祈念致します。🙏

感謝 合掌🙏