翔さんが覆い被さって、
なんの凹凸もない俺の身体を
優しく撫でて
優しく唇で触れていく。
翔さんの手の中にある自分のモノが
硬く熱くなってることが恥ずかしい。
反応するに決まってる。
キスだけでも
もう蕩けてしまうかと思っていたのだから。
ああ、もうイキタイ。
優しく俺を擦る翔さんの手が
もどかしくもある。
翔さんのモノがお腹に当たって
これをどうすればいいのかわからなかった。
翔さんと同じように
俺も翔さんのモノを手で包むと
翔さんがピクッとした。
「あヤベ。」
低い声で翔さんが呟いたと思ったら
翔さんの手が急に激しくなって
俺も翔さんのモノを同じように
手で擦った。
「…ッ…!」
お互いがお互いの手のひらに射精した。
「ハァっ…。」
お互い大きく息を吐いた。
多分。
多分だけど。
お互い気持ちよかった
とは思う。
けれどこれは
「交わった」とは言わないはず。
俺だって大人だ。
経験はないにしろ、
それくらいは想像もつく。
お互い少しの気まずさを手についた精液を拭き取るとと同時にゴミ箱に捨てた。
翔さんはベッドの上で俺に優しく微笑んでギュッと抱きしめてくれた。
だけど。
多分だけど。
「…翔さん。」
俺は翔さんの腕から抜けて
身体をおこして
「俺はね、」
真面目なトーンで声を発すると
翔さんは何事かと身体を起こして
俺と向き合う。
「どうした?なんか気分悪かった?」
「ううん。それは、もう、うん、気持ちよかったけど…って、そうじゃなくて。」
「ん?」
翔さんが優しい眼差しで
首を少し傾げた。
翔さんのこういうとこ、好きだな。
俺が話しやすいように
柔らかい空気を纏ってくれる。
でもそんな柔らかい空気で話すようなことではないんだ。
これからの翔さんとのことに関わるんだから。
「今のが俺と翔さんにとってのセックスなの?」
「え?!?!」
翔さんは豆鉄砲喰らったように
もともと丸い目をまん丸にして驚く。
「えっと、それは、どういう意味かな??」
「だから、そのっ、」
聞き返されると俺もちゃんとした回答を持っていなくて、バカなことを言っているのだと気付く。
抱きしめられたいと言ったのは自分だし、実際翔さんは俺を大事に抱きしめてくれたじゃんか。
男同士でも勇気がいるような行為を今したじゃんか。
それ以上を俺は…何を言おうとしてるんた!!
翔さんがこめかみを掻いて
鼻をスンッと吸った。
「…えっと、違ってたらごめん。潤は俺に挿れたかったってこと?」
「翔さんに、い、いっ、挿れる?!俺が?!?!」
「や、ごめんっ!そういうことじゃないよな?ほら、でもさ、男同士だとどっちがどうとかあるしさ。俺の早とちりだな。」
「早とちりじゃないっ、俺と翔さんはそういうことはしないのかなって…。挿れたいっていうより受け入れたいみたいな…。」
脳みそが沸騰して
心臓がバクバクする。
恥ずかしい。
射精したんだから気持ちよかったのは
同じだと思うけれど
俺でもし翔さんがもっと気持ちよくなれるんだったら
もう俺の気持ちもわかってるんだから
もっともっと求めてほしい。
「したいよ、潤と。」
え?
じゃあどうして?なんで?
「だけど今日はしない。」
「え……?」
どうして?なんで?え?
「俺は潤には強引にできないって言ったよね?」
「うん…。」
「そういうことだよ。」
そういうことって?どういうこと?
全く、全然、
「…わかんない。」
「なんの準備もなしに潤の身体を傷付けられないよ。初めてなのに。…つーか、初めてでいいんだよね?」
「あっ、当たり前じゃん!!」
俺か食い気味に返事すると
翔さんが困ったように笑う。
「だからさ、なおさら潤の身体を大事にさせてよ。これは俺のワガママ。」
「俺は別に気にしないよ?…痛くても、我慢できるよ?」
「それに智くんやカズにのことが頭をよぎるんだよ。どれだけ潤のこと大事に想ってるか。だから、これからずっと付き合っていく上で、これは譲れない。」
「翔さん…。」
「したくないわけない。だけどさ、これからがあるんだから。」
ああそうだ。
翔さんは俺の何倍も先を見据えて
俺の何倍も俺のこと考えて。
いつもいつも。
「今しかないわけじゃない。だろ?俺たち。」
本当に翔さんは俺に穏やかな優しい時間と気持ちをくれる。
「あーあ、泣いちゃった。」
胸がいっぱいになって
自分をどれだけ大切に想ってくれてるのかが伝わって涙が出てしまう。
そんな俺を見て翔さんが眉を下げる。
翔さんの指が頬の涙をそっと掬う。
「覚えてる?出会った夏はこうやって潤の頬をつたう雫を、前は雨の雫しか拭えなくて、すっげー悔しかったんだ。」
「覚えてるよ。あのときはごめんなさい。」
「謝らなくていいよ。あのときの俺に涙を拭う勇気も覚悟もまだきっとなかったんだから。今こうしていられるんだから。」
翔さんはもう一度俺を抱き締めなおして形のいい唇で俺にチュッと指で拭ってくれた頬にキスしてくれた。
「家族より誰より大事にするから、好きだよ潤。」
せぇへんのかぁぁいっ!
