25年ぶりのインドです。こわごわと街角に出てみたのですが、最初に見たもの、経験したものについてお話ししたいと思います。
(泊まっていたホテル・ブロードウェイ、ネット写真)
10月24日(月)、旅の2日目です。早朝5時半にはベッドを抜け出し、さてジョギングに出てみようと、ランニング用のショートパンツにはき替え、6時前にはホテルの玄関の前に出てみました。表は大通りに面しています。
車がもうかなり走っていますが、まだ薄暗く、日の出はもう少し後のようです。ジョギングのショートパンツ・Tシャツ姿では肌寒く、気温はおそらく20度までは行っていなかったと思います。
この時期は乾季に入ったばかりで、もう雨はほとんど降りません。最高気温はこの時期でも31・2度にはなるのですが、寒暖の差は大きく、午前中は日本の初夏の陽気と考えてよいと思います。
この旅のインド初体験です。周囲はまだ薄暗く、やはり緊張しています。
ホテル前の大通りをまず左側へ行って見ることにしました。まず目に入って来たのはいくつもの黒い塊です。「人が寝ている」。黒い塊は毛布にくるまった人の寝姿で、建物の前に何人も寝ています。2・30mも行かないうちにいくつもの塊を見かけました。
5月以降の酷暑の時期ですと、厚さを避けてベッドを出して一般の人たちも表で寝ることもあるようですが、これらはホームレスの人々です。日本でもブルーシートの簡易小屋を見かけますが、ここでは毛布にくるまっているだけです。30年前にも同様の光景を見ていたので驚きはありませんでしたが、「ああ、インドだ」と実感させてくれるものでした。
(インドの路上生活者、ネット写真)
ゆっくりと小走りに走ってみました。しかし思うようには行きません。走ろうにも、すぐ目の前に人の塊があり、薄暗いこともあって思うように走れないのです。そうすると間もなくデリー門が見える交差点に当たり、そこから左折して北への通り(ネタシサブハッシュ通り)を行って見ることにしました。
少しぶらぶら行くと空が白々と明け始めて来ました。
そうすると、先の方に何やら数頭の動物らしき物が見えます。「あっ、犬だ」。野良犬が数頭、前方にうろうろしています。
インドでは、都会でも野生の動物が人間と一緒に暮らしています。牛はよく知られていますが、猿、山羊、ロバ、リスなどどこでもお目にかかれます。鎖につながれた飼い犬もたまには見かけましたが、犬もほとんどは野良犬で、至るところにいます。
(インドの野良犬、ネット写真)
日本ではジョギングの最中に野良犬に追いかけられ、何度も百メートルダッシュをした経験がありましたので、正直これは困ったなと思いました。狂犬病の危険も聞いていたし、引き返そうか、とも考えましたが、沢木耕太郎の『深夜特急』に、カルカッタでカラスの群れに立ちはだかられた時、「ここで逃げてはインドの旅中、逃げ回ることになる」とあったことを思い出し、とりあえず近寄って行くことにしました。そしたら何と、野良犬たちは吠えもせず、表情も変えず、私を全く無視して脇を通り過ぎて行くのです。「あれっ」といったところでした。
(ネタジサブハッシュ通り)
見ず知らずの社会に触れる時、最初は当然こわごわと始まります。日本の経験、常識で始まりますが、いつまでも固執していると、触れられるものにも触れられないで終わってしまいます。警戒しないこと、警戒が不必要だとは言いませんが、先入観による警戒は自分を小さくする、見る目をを狭くする、心を自由にして自然体で行こう、そんな気にさせてくれる経験でした。そうしているうちに空はほとんど明けてきました。
ジョギングと 思えど犬が たむろする いやそれより
も 人が寝ている
(続く)
AD



