準備はどうしようか。スーツケースは使わず、リックにすることにしました。インドでの移動はこれが一番なのです。昔の2度の旅もそうでした。『地球の歩き方』に載っていたバックパッカー用のリックを買い求めることにしました(キャリーバックパックⅢ)。これはバックパッカーの経験を取り入れたもので、内部の整理が容易で、背負う小リックが本体にジッパーで取り付けられているものです。キャスターも付いており、移動の時には一個にして手で引け、本当に楽でした。このほかに貴重品とカメラを入れたウェストポーチを着け、スムーズに旅することが出来ました。このリックはお勧め品です。 

 

  (私のバックパック。ツゥンドラフ駅で、ポーターに運ばせる)

 そのほかに準備したものですが、出来る限り荷物は少なくということで、数枚の下着とTシャツ、医薬品、カメラ、電子辞書、ヒンズー語会話帳、本、梅干し程度でした。そのほかには、30年前のベナレスの安宿のマネージャーと一緒に撮った写真がありました。この理由は最後にお話ししたいと思います。

 

 言葉が心配でした。30年前は学生で英語を学んでいた時期でしたし、インド人が使う準公用語の英語は、ちょうど日本人が英語を話すようにどこかたどたどしいので、それなりに理解できたのですが、今度はどうなることか、出発まで時間があれば旅行用英会話帳を眺めていました。

 

 他にヒンズー語で話が出来ればと思っていましたので、『指差し会話帳』なるものを買い求めました。これは本を見せながら会話できるという優れもので、旅先でインドの人たちと仲良くなるのに最高の本でした。  

(ヒンズー語指さし会話帳)

 『地球の歩き方』やインターネット情報には、旅の注意として、トラブル、病気、政情不安、その他怖ろしくなることが山ほど書かれています。本や情報の性格上当然ですが、これだけ書かれていると、まず普通の人はインドへ行くこと、とくに個人旅行には躊躇すると思います。これらの情報は家族には内緒にしました。話したら行かせてくれるはずがないからです。でもトラブルはわが身にも起こりました。それは後でお話しすることになると思います。

(デリー、モスリムマーケットの香辛料売り少女と)

 旅の目的は何か。そんなものは特になくただ行きたいからだけだったのですが、何か具体的な目的でも作った方がいいだろうと考えました。30年前の旅でベナレスの安宿のマネージャーにいろいろと親切にしてもらったことを思い出し、一緒に撮った写真を持って彼に会いに行くというのはどうだろうか、30年ぶりの再会、「うーん、これは絵になるな」、これにしよう、ということでアルバムから2枚の古い写真を剥がし、パスポート入れにしまい込みました。旅の思い出の一つぐらいにはなるだろうと思っていましたが、これがこの旅のハイライトになるとは、この時は予想だにできませんでした。

 

 

  若き日の 自分を眺めに 行くかもや バックパック 

  久しく重し

 

 

(続く)