名指ししで平然と人殺しをしているトランプ。その胸に飛び込みハグをして女の媚びを売り、「世界に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」と、皮肉で言ったのかと勘違いするほどの言辞をのたまわった高市早苗。今月の19日の日米首脳会談のことである。

 
 罪悪感や羞恥心のひとかけらもない行為が、このように世界の眼前で平然と繰り広げられている。こんな反吐の出るようなパフォーマンスを見せつけられて、「これが正義なのか」と、自分の倫理観までおかしくなってしまった。
 
 このところ、脳裏に浮かんで来るのは原爆詩人・峠三吉の「にんげんをかえせ」である。
 
  

  ちちをかえせ ははをかえせ

 

  としよりをかえせ

 

  こどもをかえせ

 

 

  わたしをかえせ わたしにつながる

 

  にんげんをかえせ

 

 

  にんげんの にんげんのよのあるかぎり

 

  くずれぬへいわを

 

  へいわをかえせ

 

(ヒロシマの被爆者)
(爆撃を受けたガザ)
 イランやガザ・レバノンではこれら怨嗟の声が毎日上がっている。170人の女子児童を失った親たちもだ。この会談では歯牙にもかけられず、踏みにじられている名も無き人々の声である。この詩を読み直して自分も正気に戻れた。
 
 会談のホワイトハウスがヒロシマであったら、と切に願う。
 高市はその豪華な晩さん会のスピーチでトランプの息子を「ハンサム」と持ち上げたが、その直後に暗転して会場は瓦礫となり、トランプの息子のハンサムな顔が原爆の劫火に無惨に焼かれ、泣き叫ぶ一家の中でトランプの恐怖におののく醜い顔が浮かんでくる。高市は、原爆の閃光に射すくめられて、ドレスは燃え上がり、直前のその媚びた「お世事」の醜さを、名もなき人たちの怨念の中で知るのである。
(晩さん会で両手を上げ、口を大きく開けて叫ぶ高市早苗。奇しくも上のガザの被害者の女性と同じポーズである。外交上の1シーンとは言え、真逆の立場における同じポーズは世界の政治構図・社会構造を象徴的に示し、何が犯罪的なのかを我々に教えてくれる)
 
 高市の会談冒頭の発言は、外交戦術とはいえ、金を持った男にだけ股を開く女のようであまりに見苦しい。媚びを売らずとも家族(国家)を守れる女が宰相の器なのだ。国際法違反のトランプの「人殺し」を「止む無い行為」「必要悪」として黙認し続けていけば、世界は間違いなく正気を失っていく。「にんげん」を失って、ヒロシマやガザは世界のものとなり、取り返しのつかない破滅へ向かっていく。