子供の頃は夏休みは母の実家で過ごしていた。

高知県にある母の実家は、お風呂もトイレも外にあるようなド田舎だった。


祖父母の家にいる時に一番びっくりしたのは、家の中に知らない人が勝手に入ってくる事だ。

近所の人なのだが、

「ちょっと聞きたいんやけど。」

と話しかけてくる時には、既に靴を脱いで居間の真ん中まで入って来ているのだ。

普通、チャイムを鳴らすとか玄関で「ごめんください」と呼びかけるのが普通ではないか?

ギョッとしている私達とはうらはらに、祖父母は特に驚くでもなく平然としていた。

そもそも、留守にする時以外は玄関が常に開けっ放しだった事もある。

その話を兵庫県の山奥が実家だというY子に話すと

「考えられへん‼️玄関開けっ放してたら、熊が入ってくるやんか‼️」

と言ったので驚いた。

「熊⁉️」

「そう。玄関閉めてても油断はでけへん。前にピンポンってチャイムがなったから、誰がきたんかと思って見たらチャイムについてるカメラに熊が映ってたらしい。たまたま、立ち上がって手をついたところがチャイムのボタンやったんやろな」

「怖すぎる‼️」

今、スローライフと称して田舎に引っ越す人も多いと聞くが、私は程よい田舎の今の暮らしで充分だと思ったのだった。