私はスピリチュアルな話が大好きなのだが、自分自身には全く霊感がない。何も聞こえないし何も見えない。そんな私なので不思議な体験というのは非常に分かりやすい形でやってくる。

母が認知症だと分かり、ビックリするような速度で進行していた頃、私は慌てて母との同居を計画した。しかし、父が亡くなってから20年近く母は、近くに住む弟家族の所でご飯とお風呂を食べていた事もあり、水回りが使えなくなっていた。母だけならまだしも、小姑の私が毎日弟の家でお風呂に入るわけにもいかないのでリフォームしようと決心。業者に見積もりをお願いし、いよいよ来週には契約となった日の夜の事だ。

夜中に弟の家に忘れ物を取りに行って、実家に戻ろうとすると知らない男の人が声をかけてきた。

その人は明らかに酔っていてフラフラしていたので、私は無視して足早にその場を立ち去ろうとした。すると

「〇〇さんところの娘さんですか?僕、前の家の〇〇です。飲みすぎて、ちょっと外で酔いをさましてたんです。」

と超ご近所さんである事が判明。そうなると無視する訳にもいかず、私は逃げ腰ながら「いつも母がお世話になっています」と挨拶するしかなかった。

するとその人は

「あなたのご実家は借地だから、改築するなら大家さんの許可を取らないとだめですよ」

といったのだ。

それを聞いて、慌てて大家さんに連絡をとると

「許可は出来ない。もう代替わりしているので土地の事は整理したい」というではないか。

私は結局、実家のリフォームを諦め、近くのマンションに住んでいるのだが、あのまま何も知らずに実家をリフォームしていたらと思うと冷や汗が出る。

あの時、絶妙なタイミングでアドバイスをくれたご近所さんには、あれから一度も会っていない。

後にも先にもあれ一度きりなのだ。私が実家で住んでいた時にも見たことがないので、あれはご先祖様とか守護霊とかそういう系の人が、「あかーん、何回も念をおくってるけど、全くわからず契約してまうわ!もう、奥の手や‼️」とかなんとか言って直接言葉で伝えてくれたのでは?と思っている。