私の祇園祭の思い出は強烈だ。

コロナ前の京都が外国人で一番溢れかえっていた時に私は友人と祇園祭のメインである山鉾巡行を観に行った。

今までテレビでしか観たことがなかったから、京都、伝統、平安というキーワードからなんとなく、ゆったりはんなりといったイメージだった。

実家の近くの有名な祭りが毎年死者が出る岸和田祭りだという事もあって、あの祭りに比べればなんて事ないだろうという気持ちもあった。ハッキリ言って舐めていた。

実際は想像していた100倍危ない祭りだった。

特に最大の見せ場の「辻回し」のところなどはデンジャラスゾーンだ。

祇園祭が初めての私達も含めて全ての観光客が結局ひとめ有名なあの辻回しを観たいとその場所に集まる。そこになんの秩序もないので、ダメだと諦めて帰りたくてもUターンすることすら出来ない。人はドンドン押し寄せてくる。

これヤバいんじゃないかな?と皆んなが思っているのだがどうしようもないのだ。日本人はそれでも黙って大人しく押されていたのだが、1人若い外国人の女性がパニックを起こしてキレた。

「ノー‼️ノー‼️ヘルプ‼️ヘルプミー‼️」

隣の日本人のオバチャンが

「大丈夫‼️大丈夫よ‼️」と声をかけているが

彼女の絶叫はとまらず、コンコンチキチキという祭囃子にまじってテレビ放映されることのない阿鼻叫喚がそこにあったのだった。

祇園祭のニュースが流れるたび、あの時の光景がよみがえり、今後どんどん暑くなる日本でもう二度と祇園祭に行くことないだろうなぁと思うのだった。