70歳をとうに過ぎている会社の元上司が今は近畿中の神社仏閣を参拝するのにハマっている。
『ほんまに、お参りするってええことやで。心が洗われるで。』
元上司はお寺で撮った写真を見せながら、いろんな神社仏閣の名前を次々とあげていくので私は
『すごいですやん!もう極楽浄土行き確定ですね!』と持ち上げた。
すると元上司は
『そやねん!天国へ行ったらお花畑を50坪ぐらい自分のもんにしたろと思てんねん!』
と目をキラキラさせながらいうではないか!
『罰当たりな‼️煩悩まみれですやん😱何の為にお寺に行ってるんですか‼️心のどこを洗ってるんですか⁉️』
『そら、天国行くためや‼️先に行くやつにエエ場所おさえてもらっとこ思てんねん』
全く改心するつもりのない元上司の言葉を聞いて、私は母方の祖母の事を思い出した。祖母は毎日朝早くから仏壇に向かってお経をとなえる信心深い女性だった。
私は祖母の事が大好きだったので
『おばあちゃん長生きしてな』と言うと、あろうことか祖母は
『長生きしたら天国に行くのが遅くなる。早くいかんと天国がいっぱいになるから、長生きはしたくない』と言い放った。
しかも
『あんたはまだ若いから、あんたが行く頃には天国はいっぱいで入れんと思うよ。可哀想』と
付け加えたのだ。
しかし祖母は希望に反して94歳の大往生で天国の扉が開いていたかは微妙だ。
ギラギラして、天国でも土地持ちになろうとしている上司もまだまだ死にそうにないのでやはり天国に入れないのではないかと思っている私だ。