認知症で82歳と高齢の母と高野山の宿坊に泊まりに行った。

神社仏閣に行くのが趣味なので、一度は宿坊なるものに泊まってみたいという憧れだけで決めたので、宿坊に関しての予備知識はゼロだった。

団体と個人という選択肢しかなかった為、当然個人を選んだのだが、行ってみると共同浴場、共同洗面、共同トイレだった。

そこまでは許容範囲だった。私が愕然としたのは部屋に鍵がかからないという事実だ。

しかも、金色のふすまを開けると隣にはまったく同じ間取りの別の部屋があった。


どういうこと⁉️😱

まさかと思って鍵のかからない扉をあけて廊下に出てみると、やはり全く同じ扉が隣にもついていた。

勘違いじゃなかった‼️もしかしたら、赤の他人と襖一枚隔てただけの空間で一泊する羽目になるかも😱

青ざめる私をよそに認知症の母は

「めっちゃ広いやん💓」

と無邪気に喜んで、隣の部屋にずかずかと入り寝転ぼうとするので

「この部屋には入ったらあかん!」

と慌てて母を連れ戻す。

「なんでよ!せっかくやのに!」

「暖房が効かへんなるからここは開けたらあかん‼️」と言う私の苦しい言い訳に、幸いにも母はあっさり納得したのでほっと、胸を撫で下ろした。

しかし、鍵がかかるようになったわけではない。

しかも、宿坊には30名ほどが宿泊していたのだが全員外国人の団体で不安は増すばかりだった。

さらに外を見ると雪が降ってきた。

部屋の中はガスヒーターでガンガン暖められ22℃と快適だったがトイレに行こうと廊下にでるとマイナス3℃で吐く息が白く凍るのだった。

あかん。母が召されてしまう😱

予想に反して母は元気に瞑想や護摩祈祷にも参加してご機嫌だったが、私はそういえば宿坊って修行する場所だったなと今更ながらにその事実をおもいだしていた。

弘法大師様も気の毒に思ってくれたのか一夜明けた次の日はポカポカ陽気で私と母は高野山を満喫して無事帰路についたのだった。