母と九州へ旅行に行った。大分県に行ったのだが中国からの旅行客でごった返しており、コロナ前に戻ったかのような賑わいをみせていた。
駅で若い男の子が一人の旅行客に何か英語で質問されていて、その質問に答えるために彼が電光掲示板を確認しに行くと、そのあとを早口の中国語で喋りながら10人以上の人がついて行った。彼が掲示板を確認して後ろを振り返るとまさかの団体に取り囲まれてギョッとしている様子を私は他人事として遠くで笑っていた。ところが、である。
旅行中に母とのツーショットを近くにいた年配の女性に頼んだら、その人が中国人だった。その人は戸惑いながらも隣の娘さんらしき人にアドバイスをもらいながら私の携帯で母とのツーショットを撮ってくれた。そして携帯をかえしてくれながら、自分達も撮ってほしいとジェスチャーしてきたのだ。
「もちろん!」私が笑顔で日本語でそう答えたとたん、女性は突然早口の中国語で大きな声で叫んだ。すると周りにいた人達がワラワラと女性の周りに集まってきた。ええっ⁉️と思ったが、結局、20人ぐらいの団体写真を素人の私が撮ることになった。
気のせいか他の人達も頼みたそうな雰囲気を醸し出してきて私はその団体の写真を3枚ぐらい撮ると逃げるようにその場を離れた。お昼近くなって急に気温もあがり母が暑い暑いと言い出した。トイレで脱がせるとビックリするほど上下に着込んでいて、カートには入り切らない。しょうがなく100円ショップへ行き圧縮パックを何枚か購入して店の空いたスペースでギュウギュウと母の服を圧縮していた。やはり、100円ショップという事で中国人観光客も来ているようで中国語が飛び交っているなぁと思って顔をあげてギョっとした。私と母はいつの間にか中国人の団体に囲まれて指を指されていた。どうやら、圧縮パックが珍しかったようだ。途中で止める訳にもいかず、私は完全な実演販売の人と化して黙々と作業をすすめた。日本にいるはずなのに、なぜかアウェイ感が否めない私なのだった。