母が痴呆症だ。私の弟家族が徒歩1分の所に住んでいて、夜寝る時以外は、そっちへ行っているので心配ないのだが、24時間相手してられへんと言われて私が毎日1時間ほど母とビデオ通話をしている。
いつもは、母の夢なのか妄想なのか分からない話を適当に聞きながすだけでいいのだが、昨日はいつもと勝手が違った。
どうも、いつもより早く仕事から帰った弟が久しぶりに母と会話して母に色々質問したらしい。早々に母の痴呆症を受け入れた私と違い、弟は諦めきれないようで訓練のつもりだったようだ。
そして、そのとばっちりがそのまま私のところにきた。母が答えられなかった質問の答えをその後のビデオ通話で私に求めてきたのだ。
「今私が通ってる病院の先生は誰?」
「S先生やろ」
「そう!」
「じゃあ、体操の病院の名前は?」
「U接骨院」
とここまでは簡単だった。
しかし、いきなり質問の難易度があがった。
「じゃあ日曜日に行ったお寿司屋さんの名前は?」
「…知らんよ。私行ってないんやから」
「なんでわかれへんの⁉️いっつも行くやん」
いっつも行ってるのは弟達とやん💦
弟がしつこく質問を繰り返していたのだろう。母は一向に諦めずに私に答えを迫ってくる。
「なんでもええから、言ってみ。」
私はウンザリしながらも
「Kっぱ寿司」
「違う!その前にある店!」
そっちに住んでないのにそんなローカルな情報分かるはずないやろ😱
「Sシロー?」
「違う」
「Kラ寿司」
「違う」
「わからん!何⁉️」
「それが分からへんから聞いてるんやん。」
「………」
こうやって毎夜不毛な時間は過ぎていくのだった。