同じ職場のKさんはイケボで有名な人だ。あまりに良い声なので社内のアナウンスは彼の声を録音して使用しているほどだ。声だけでなく、見た目も仕事もクールなKさんなのだが、その昔、帰宅した際に玄関で愛犬のウンチを踏んづけてしまったらしい。
それだけでも面白いのだが、慌てて流そうと風呂場に駆け込んだため、風呂場のタイルですべって仰向けに倒れ、打ちどころが悪ければ死んでたとまで言われたのだという。
こんな事で死んだら末代までの恥晒しだ。本当に良かったとKさんは良い声でしみじみ言っていた。ちなみに私の父方の祖母も孫である私の弟がまだ幼稚園の時に
「でんぐり返しはこうやるんや」と自らお手本を見せようとして背中をひねって立てなくなった。
息子である父におんぶされて病院に連れて行かれながら
「こんな恥晒しな事は誰にも言われへん!末代までの恥だ!医者にも絶対に言うな!」と厳命し、父は
「コタツの角に足を引っ掛けてコケまして」というと痛い痛いという祖母を診察しながらお医者さんは
「そんな事で背中を痛めるはずないんやけどな」とずっとクビを捻っていたという。
この話は、その後も笑い話としてちょくちょく登場し、確かに末代まで語り継がれる勢いなのだった。