カルチャーセンターで日舞を習っている。
習い始めたきっかけは、祖母や母の古い着物が箪笥の肥やしになっていたため、ユニフォームが着物の習い事ならば着る機会が増え、あわよくば一人で着物を着る事が出来るのではないかと考えたためだ。
しかし、実際は短時間で着物を着るスキルがないため、見かねた先輩達が魔法のように着付けをしてくれるため何年経っても一人では着れるようにならなかった。それどころか、着物で踊ると暑くてたまらず、ついつい浴衣を着てしまい、着てあげたかった着物は相変わらずタンスの肥やしなのだった。
飽き性で何をやっても続かない私がもう5年以上、日舞を続けていられるのには理由がある。
それは、先輩達が褒めちぎってくれるからだ。
日舞を習っている先輩方は、すでに70歳から90歳近くの人までいて習い始めがギリ40代だった私はひよっこで
「若いわねー💕。もうあなたなんか踊らなくても立ってるだけでいいわ!」
「やっぱり若いから覚えが早い!」
ともう日舞に関係なくずっと誉められていた。
何をしても可愛い可愛いと誉められて、携帯の扱い方を少し伝授しただけで
「女神様みたいやわぁ。ありがたくて涙が出るわ」とこちらが恥ずかしくなるほど感謝された。
しかし、日舞の師匠には
『踊りが雑すぎる!丁寧に生きていないから、それが踊りに出ている』と人生の根本から否定され、それでショックを受けていると、また先輩達から
「伸びしろがあるから叱られるんやねぇ。うらやましいわぁ」と慰められた。
そんな飴とムチの日々は、50歳になって子供のように自分の為に叱ってくれる人や心から誉めてくれる人が少なくなってきた私の心を癒してくれるのだった。