今は亡き愛猫を飼うまでは、猫がこんなに格付けをするものだとは知らなかった。
猫にとって、必要な人は夫ただ1人であり、私は邪魔者だった。
それが決定的になったのは、ある夜のことだ。
その日、飲み会で遅くなった私がベッドに入ろうとすると、ベッドのど真ん中には既に爆睡中の夫にピッタリと寄り添って幸せそうに寝る猫がいた。
微笑ましいなぁと思いながら私は、猫を起こさないように
「失礼します」といいながらそーっとベッドの端に横になった。
ダブルベッドのど真ん中に夫、そして6キロ越えの猫がその横にいたため、私のスペースはほとんどなかった。
にもかかわらず、目を覚ました猫が私を見ながら、夫の身体に背中をつけ、テコの要領で身体全体を使ってウーンと足を伸ばし私を押したのだ。
「ちょ、ちょ、ちょちょっと‼️」
私は押し出されベッドからずり落ちた。
夫と二人きりで気持ちよく寝ていたのに、そのラブスペースに私が侵入したことが許せなかったのだ。
そのあからさまな嫌がらせにキレた私は、夫から猫を引き剥がし、ポイっと床に投げて素早く夫にピタリと背中をつけて布団をかぶった。
猫は慌てて布団に入ろうとしてきたが、それを断固阻止していると、頭をふまれたり噛みつかれたりした。まるで、夫を取り合う本妻と浮気相手の喧嘩のようだが、実際は相手は猫でオスなのだった。
ちなみに、最終的には私が夫のイビキに嫌気がさし夫と寝室を別にしたため、猫は思う存分夫を独り占めすることができ、我が家に平和が訪れた。
ただ、我が家なのに私のアウェー感は半端ないのだった。