半年前に脳には異常がないと診断された母だが、やはり物忘れがひどい上に同じ事を何度も繰り返す。

私は弟に

「近い将来、私たちが誰だか分からなくなって、違う役割が与えられるかもしれん!その時には、母に寄り添って、呼ばれた名前の役を完璧に演じきろう!」

悲壮な覚悟で私が言ったにも関わらず弟は

「無理!」と一言で切って捨てた。

「なんでやねん⁉️」

私がかみつくと

「だって、俺今でも普通に呼び間違えられてるもん。マルって」

「ええっ⁉️」

マルとは20年以上前に飼ってた実家の愛犬だ。

「なんて返事するねん?ワンか?」

「…」

その話を友人にすると

「それは普通やで。うちも妹のM里に向かって、母親が、『カル!M里の面倒ちゃんとみたってや!』って何回も念をおしてたもん。」

「カルって?」

「インコ🦜」

そうかー。普通なのかー。と私はどんどん普通が何なのかが分からなくなる今日この頃なのだった。