義父のお墓は、生まれ故郷の鳥取にある。

大阪からは頻繁に行けないのだが、このほど義母と夫の3人で車に乗ってお墓参りに行ってきた。

田舎にポツンと立つお寺で永代供養をしてもらっているので、そちらでお線香やビールやお菓子をお供えしようとすると義母が

「待って待って!お父さんの写真をもってきたから」

といそいそとカバンからハンカチに包んだ写真立てを私に渡した。

「はいはい。じゃぁ飾りますね」

私はハンカチを広げて写真を取り出しそのまま固まった。

両手を突き出してピースをしている義父の衝撃の姿がそこにあったからだ

義父は大変優しい穏やかな性格だったのだが、強面でスキンヘッドで寡黙だった。

恥ずかしがり屋で、笑う時も静かに笑うようなタイプで、どこでどう間違ってこの写真が撮られたのか今この場で問いただしたい衝動に駆られる。

それほど写真の義父はイエーイという声が聞こえてきそうなほどのドヤ顔でのダブルピースだった。

違う・・・・私の知っている義父とは違う・・・

「お義母さん・・・・社員はこれで・・・?」

私はおそるおそるそういいながら供養塔の前に義父の社員を置いた。

心の中では

(この場にもってくる写真は本当にこれでよかったのか?いや!なぜわざわざこの写真を選んだ!?)とツッコみまくりだったのだが

涙声でその写真に向かって

「おとうさん、早く迎えにきてくれないと寂しいよ。もう7年もたつんだよ」と語りかけているので

何も言えなかった。

この写真に涙ぐんで語りかける事ができるお義母さん・・すごすぎる。

仕方がないので私は心の中で

(お義父さん・・お義父さん的にはこの写真でよかったんですか?まぁ面白いので

お義母さんのお迎えはもっと後でお願いします)と言っておいた。