(ネタバレあり)

 

70代にして主演の長塚京三さんは、

世代のわりに長身で、昔から独特の雰囲気のある役者さんでしたが、

今回の作品ではそれだけでない、かっこ悪い部分も含めて、

巧みに表現されていたと思います。

 

一般的に多くの皆さんが述べているように、

「敵」とは老いのことでしょうか。

 

紳士らしく振る舞っていつつも、

あわよくばとかつての教え子を自宅に招き、

バーに通って大学生の女の子と話し込み・・・。

いい人ぶっているけど案外そうでもない、といったところは、

自分にも思い当たるところがあり、少々胸が痛かったりもしました。(笑)

 

ラストの解釈としては、自分は、

夏から物語が始まって、秋、冬へと進み、

出会いと別れの春を経て、また夏へと戻るという

“ループ”ものでもあるのかなと思いました。

主人公の「ああ、また彼らに会いたいなー」というセリフにも、

どこかそんな雰囲気を感じました。

 

と同時に、この物語は、祖父から主人公へ、そして甥へと

家が受け継がれていく意味でも“ループ”ものと言えるのでは、とも思いました。

中盤で庭に現れ、こっちを見ていたという若者はあきらかに甥のことを指しているわけで。

 

また、夏、秋、冬、春の“ループ”ものという見方においては、

もはや主人公だけの世界でのこと、想いのみが残ってただただ繰り返されているだけのこと、

とも考えたりしました。

いろいろな教え子たちが訪ねてくるのも、孤独な主人公の頭の中の願望でのことというか。

 

そんなことを思ったりしながら、一番印象に残っているのは、

終盤、元教え子の鷹司に「今ならあれってハラスメントですよね」と言われ、

主人公が「そんなこと言わないでよ・・・。あれはいい思い出なんだ・・・。」と

もはや元教授の威厳もなく、弱々しく応えるシーンです。

紳士らしく振る舞うこともできず、相当弱っている感じが出ていて、

とても印象でした。