○ヤクルト8-2DeNA●(30日・神宮)
「1球でもストライクが来れば十分だ。それを仕留めるよ」。
言葉通り、
ヤクルトのバレンティンが四回、ひと振りで持っていった。
DeNAの2番手・吉川の低めのシュートに差し込まれて
バットを折りながらも、左翼席へと運ぶ2試合ぶりの52号。
シーズン最多本塁打記録にあと3本と迫るとともに、
月間最多本塁打の記録を18本に伸ばした。
じりじりしていた感じが伝わってきた。
第1打席は無死走者なし。
2球目の高めのボールに強引に手を出して空振りしたが、
それ以外の4球は明らかなボール。
二回の第2打席も2球目のボールのスライダーに気のないスイング。
四球で歩かされた時は、投球と同時にバットを下ろした。
50号を放ってから投手の攻め方が変わった。
中日の山本昌、川上ともに内角攻め。
この日からカードが変わり、
DeNAの中畑監督は
「記録を防ぐために歩かせることはない」と言い切った。
しかし、先発の三嶋は制球がままならず、
吉川のボールは内角に構えた鶴岡のミットよりも甘くなった。
バレンティンは
「バットの先。ポール際は伸びてくれる場所だからね」と笑う。
意識させられていた内角を強引にも打ち返す強さ。
これで野村克也氏(南海)らと並ぶ日本歴代5位となり、
「5位もすばらしいけど、僕は一番が好きなんだ」。
プレッシャーも感じていないかのようにバレンティンが56号に向かって突き進んでいる。