死力を尽くしたプレーだった。
16日に行われたデビスカップ・ワールドグループ入れ替え戦の3日目、
イスラエルに1勝2敗と、想定外に追い詰められて迎えたエース対決。
錦織圭(日清食品)は第1セットの第4ゲームをブレークして6-3で奪い、
37分で先行したまではよかった。だが、第2セットの序盤から動きがおかしい。
左足の踏み出しが悪く、第4ゲームのサービスゲームで2本のダブルフォルトを犯して
先にブレークを許した。初めての経験というふくらはぎと太もも2カ所のけいれんで着地ができないのだ。
第5ゲームをすぐブレークバックしたもののリズムがつかめぬまま、
第6ゲームに再びブレークされセットタイにされた。
ラリー戦で幕を開けた第3セットの第5ゲームのコートチェンジ、
坂井利郎監督が早くもメディカルタイムアウトを要求した。
気温は33度だが直射日光がきつく、しきりに水を飲む。
相手のドゥディー・セラは世界ランキングを98位まで下げていたものの、
3年前には29位まで上り、相手の不調に付け入る力は十分に持った選手。
第9ゲームでは40-0から追いつかれ、4度目のジュースでブレークされるという
最悪の形でセットカウント1-2に逆転された。
後のない試合で、エース錦織が追い詰められた。
大きく外れるファーストサーブ、ラインを割り続けるフォアハンドに天を仰ぎ、
頭を抱える……予想もしない展開には伏線があった。