ほしき物を買はず惜しき物を売れほしき物を買はず惜しき物を売れ、なるほどねえ。商いのキホン、いつに変わらぬか。 「以前にかはり世間に金銀多くなつて儲けも強し損も有り、商ひの面白きは今なり。随分世渡りに麁略をすることなかれ。或長者の詞に、『ほしき物を買はず惜しき物を売れ。』とぞ。此の心のごとく稼ぎて奢りをやむればよきに極まる事なり。」 (西鶴、『日本永代蔵巻六』)