ことにあたって、なにごとも前例にあたり、無難にやり過ごすというのはよくある。
「・・・なにしろ、あなたは、(・・・)、番所の古帳面ばかり、ひっくりかえしていられる酔狂な方だから、前例のあることなら多分ご存じだろう。・・・もし、そうだったら、それはどういう次第で、どういうおさまりになったものか、(・・・)」
(久生十蘭、「咸臨丸受取」)
ウム、そしてたしかに前例をよく知っている人が探せばいるもんだ。
変化ははやい。世間の片隅にいても、新奇で目新しいこと、予想もつかなかったことも起こる。しらんぷりできればいいが、当事者として直面することになると、処理にホネが折れる。
それで、できたら、前例に詳しい酔狂な方がいないか、となる。でもそういう人は減っているんだな、これが。前例のないことが起こりすぎるのか、なんだか知らないが、難しいことに限って尻が持ち込まれる。
やれやれ、ぼくだってわかんないよ・・・