とかくそちらへ | 拾い読みあれこれ

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きょ~も適度に息抜き、よいかげん。ゆっくり歩いて遠くまで

心配事も話に出るうちはいい。

ところが誰もが押し黙ってしまう時がある。懸念が消えたわけではない。

「・・・。一同の心の中には共同の不安というようなものが重苦しくたぐまっていて考えがとかくそちらへばかり行く。」
(久生十蘭、「蕃拉布(はんでかちふ)」、全集IV、p.200)

たぐまるとは着物などがどこかにひっかかってきちんと伸びない状態をいうようだ。

不安がどこかに引っかかっている。そちらとは悪い予想のほう。みなの気持ちのなかでは不安が高まっている。

こんな皆が黙りこくるしかないとき、よい知らせを待つか、場の雰囲気を一変させてくれる誰かの登場を願うしかないのかな。