しわい | 拾い読みあれこれ

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きょ~も適度に息抜き、よいかげん。ゆっくり歩いて遠くまで

「人のしはきを笑ふ事は非(ひ)なり。それは面々(めいめい)の覚悟(かくご)に有(ある)事なり。・・・」
(西鶴、『日本永代蔵』、『日本古典文学大系』48、岩波書店、pp.181-182.)

ここで「しはき」は「しわき」だから、しわい(吝い)ということで、要するにケチでしみったれということだろう。
あんたケチねえといわれる時があり、それを笑うなという、この言葉を思う。
入ってくるものが少ないのだから仕方ない。そりゃあ、欲求のままにカネが使えれば、誰だってうれしかろうが、ケチというのは、そうした欲望と向き合って抑制し戦っているんだ、とも思う。じぶんの欲望ばかりではない。人付き合いのなかから出てくる、こ~したい、あ~したいという人を思い、自分を思う、あれこれの気持ちもカネが裏付け、各人各様の覚悟があって金遣いを抑制しながら、遣う水準と遣い方が決まってくるのだろう。ずいぶん意志の強さが要るものなのだと思う。