あざみ笑う「・・・文彌はやがて起上り、あざみ笑ひていひけるは、貧乏者の子とうまれ、正直にかまへては、とても出世はなりがたし。・・・山東京伝(『昔話稲妻表紙(むかしがたりいなづまひょうし)』)アザミとは紅紫色のきれいな花が咲く。しかしアザミは棘あるもの。ここで「あざみ笑ひて」とは迫力のある表現だ。読んでいて、正論を説き諫める者に、悪事を手がけねば世に出られぬと言い放つ文彌の顔が浮かぶ。天は何故、アザミに美と棘を与えたのか。