「・・・何でも人は気がゆるむといかねへぞよ といつて辛吝(からく)して人のかすり斗(ばか)りとるやうでは 矢張(やつぱり)是も済(すま)ねへから・・・
(為永春水、『孝女二葉錦』)
およそ気を緩めず、しっかり処世するのは大事なことだが、それがからいやり方では、これまたいけない。
からくとはケチでひどいやりかた、そんな姿勢で人の「かすり」をとる、つまり上前をはねるようなことばかりしているのはいかんというわけだ。
そうして
「慈悲(じひ)情(なさけ)は元より 年忌(ねんき)仏事(ぶつじ)も人並(ひとなみ)にしておいて なんでも手めへの身(み)をつめるが肝心(かんじん)・・・」
(為永春水、『孝女二葉錦』)
と。
まあ、年寄りのご意見、味がある。