NO.598
「葉桜の季節に君を想うということ」著者:歌野晶午
読了日:2020年11月13日

著者「歌野晶午」 読書歴:
「密室殺人ゲーム」を読んで以来2冊目
その作品では、胸糞悪いストーリーでありながらも、600ページに及ぶ長編を読ませる筆力には脱帽した

タイトルや表紙を見て:
評判の作品であること知る以外に情報を入れずに読んだ
本の表紙から醸し出す印象は、ミステリーとうたいながらも落ち着いた大人チックな様子だが.....予測不能

読中から読後の感想の変化:
いったい主人公が何者なのか、時代背景も分かりにくい状況で、細切れのように乱立するエピソード、全く繋がりそうもない話たちが、最終章で一気につながっていくのには驚かされた
まんまと騙されたし、「どんでん返し」は凄いと思ったけど、再度読んで伏線探しをしたいとは思わない
というのも、最終章より前が正直あまり面白くなかったからだ

どんな読者におすすめで、どんな読者におすすめしないか:
結末の「どんでん返し」は、特に凄いです
どんな読み方をしても、伏線の意味に気づくのは至難
文中の違和感を察知して、理解した人はすごいですね
だから、ミスリード解読に挑戦したい方には、おすすめだと思う
どんな方におススメしないか、それは作中に起こるすべての事柄の決着を望んだり、人間ドラマを期待すると、肩透かしを食らうかもしれない
これは、伏線を多く散らばせられているのと、乱立するエピソードも読者を欺いているからだろう
最後の前くらいまで「フワフワ」した感じで読まされて、ホントに終わるのか?と不安に思うほど進展しない展開だったので

最後に:
「葉桜」とは、花びらが散り、若葉が出はじめた頃の桜の木を指すらしいが、この物語では何を意味するものだったんだろうか、人生にとっての葉桜の季節とは、いったい....

ページ数
469(文庫)
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
2(満点3)
ストーリー
2(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
3(満点3)
私個人の好み
1(満点5)
合計
14(満点20)

2020年30作品目

つぶやき:
人を騙す話はどうも好きになれない
この作品の結末、正義感のあるというか粋な主人公と、このヒロインをくっつけて欲しくないのが個人的な望みだな

次に読む本:
東野圭吾 著 「名探偵の掟」
 

NO.597
「殺りくにいたる病」著者:我孫子武丸
読了日:2020年11月11日

以前に「さよならのためだけに」を読んで以来2冊目

読中から読後の感想の変化:
頭から最後のの最後まで、犯人の残忍さや犯行の詳細がこと細かく説明されるので、胸糞悪い気持ちで大変でした
でも、最後まで読んでやっとわかる真実が、「再読せよ」との衝動を読者に起こさせるのです

この作品の特徴:
まず、冒頭から「エピローグ」
犯人が逮捕されるところから物語がスタートする
もちろん犯人も明らかだ
この物語は、以下の3つの視点で進行する
①犯人=「稔」
②息子の母「雅子」
③元刑事「樋口」
本編は、「稔」の犯行が時系列で進行する
そこに、息子の行動を訝しむ「雅子」の行動
さらに、被害者の一人の知人で、元刑事「樋口」が事件の真相に迫る
ちなみに、30年くらい前の作品なので携帯とか出てこないし、流行りの歌も時代を感じさせます

 

どんな読者におすすめで、どんな読者にすすめないか:

とにかくグロイシーンが多いため、そういう描写に耐性がない方は、読み飛ばすか、読まないことをお勧めしたい
私も凄惨なシーンは得意ではないので苦労しながら読み進めたが、結果、結末まで読んでみると、度肝を抜かす作者の罠に完全にはめられていたことに気づく
読むのも拒みたいような情景の陰に、実は「ミスリード」を誘う伏線が散りばめられていたことを後から知る
言わずもがな、この作品は評判とおり傑作であると認めざる得ません
乾くるみの「イニシエーションラブ」のラストのような、最後にどんでん返しの驚きを求める読者にはいいと思う
私は、本当に読むのをためらいながら読み進めたにもかかわらず、読み終わってすぐに「伏線」を探しに再読しました
そうすると、一読目には「違和感」でしかなかったところが、ちらほら見つかり、この作品の凄さを実感していきました


ページ数
235(単行本)
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
2(満点3)
ストーリー
1(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
3(満点3)
私個人の好み
1(満点5)
合計
13(満点20)

2020年29作品目

つぶやき:
先日読んだピエール・ルメートルの「悲しみのイレーヌ」の時も、残酷のシーンが多くて読後数日気分が塞がっていたのですが、この作品も暗い気持ちを引きずりそうだ

次に読む本:
歌野晶午 著 「葉桜の季節に君を想うということ」
 

NO.596
「レゾンデートル」著者:知念実希人

読了日:2020年11月9日

「レゾンデートル」とは、フランス語で「存在理由」「存在意義」という意味らしい

直球で伝えたい読後の感想:
面白い、一気読み間違いなしです
読んでいて自分の心の変化に驚きました
「前半」と「後半戦」では、主人公や作品全体のとらえ方が変わるということです
前半戦のネガティブに感じる出来事を、主人公が主人公たる存在に確立していく流れで、読者の心をグッと持っていかれると思います

主人公とヒロイン:
末期がんを宣告された若手医師が、自暴自棄になり荒れ、暴力に生を見出していく
そんな時、偶然に遭遇した追われている少女を救ったことをきっかけに、彼女を守り、二人の残りわずかな時を平穏にと願うようになっていくのだが......

主人公とジャック:
自らの過ちをネタに脅され、手先として使われる主人公
主人公はジャックとの直接対決に備えて、ジャックの正体を追う

追われるヒロイン:
知り合いの男が殺され、友人も拉致された
少女はペンダントを預かっている
それにはある情報が隠されているが、それにはまだ彼女は気づいていない

一人の人間の「レゾンデートル・存在理由」が頭と最後でガラッと変わります
読後感もいいと思いますよ

これがデビュー作とは、ホントに感慨深い

ページ数
478
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
3(満点3)
ストーリー
2(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
3(満点3)
私個人の好み
3(満点5)
合計
17(満点20)

2020年28作品目

つぶやき:
自分ももう四十半ばなので、不治の病は怖い
リアルに感じる年齢になってしまった